＜福岡県警＞「偽装質屋」社長ら逮捕へ　無登録・高金利容疑

　貸金業者として県知事に届け出せずに違法な高金利で金を貸し付けたとして、福岡県警は、いずれも福岡市博多区の質屋「ダイギンエステート」と「恵比寿」両社長を含む数人を貸金業法違反（無登録営業）と出資法違反（高金利）容疑で３０日に逮捕する方針を固めた。県警は両社の実態は貸金業で、質屋を装って低価な品を質入れさせて法外な金利で貸し付ける「偽装質屋」と判断し昨年１０月に家宅捜索していた。福岡県弁護士会の「違法質屋被害者弁護団」によると、両社は福岡県などの高齢者ら約１万人に貸し付け、計約８０億円を回収していたという。

　捜査関係者によると、２０１０年の貸金業法改正で上限年利が２９．２％から２０％に引き下げられたが、両社は数千円で購入した腕時計や指輪を質草に、９０％を超える年利で数万～十数万円を貸し付けていたという。元金や利息の回収は、顧客の年金口座から自動引き落とししていたという。ダ社の社長（６１）は恵比寿の社長の父親とされる。

　ダ社は０７年、恵比寿は０８年に県に質屋として営業登録し、ダ社は「アオキ」、恵比寿が「えびす」の店名で福岡、佐賀、熊本３県で８店舗を営業していた。

　「偽装質屋」を巡っては、これまでに大分、愛知、鹿児島、群馬県警が逮捕した業者を合わせると、貸付総額は計２４億３７００万円に上る。警察庁は西日本を中心に被害が頻発しているとして、５月２３日、業者の実態把握や取り締まりの強化を全国の警察本部に指示した。【福永方人】