「不法ヤード」規制へ　千葉県、今夏にも全国初の条例制定

　高い塀で囲われ、犯罪の温床ともなっている「ヤード」と呼ばれる作業用施設の実態把握を進めるため、千葉県は来年度中にも、全国で初めてヤードの規制条例を制定する方針を固めた。全国最多のヤードがある県内では、盗難車の解体などを行う不法ヤードの存在が指摘されてきた。県は今夏にも有識者会議を設け、警察官の立ち入り権限の明確化や、違反した場合の罰則などについて議論を進める。

　ヤードは敷地を鉄製の塀などで囲い込んだ施設で、自動車解体業の許可を受けた業者が、騒音や塵の飛散対策などとして設けることが多い。ただ、外側から中の様子を確認できないため、盗難車を解体して国内外に転売するグループなどが建設するケースが相次いでいるとされる。

　ヤード自体を規制する法律がないため、県は独自に条例を制定し、継続的な実態の把握に乗り出すことを決めた。

　県警組織犯罪対策課によると、県内の設置件数は全国最多の４３４件。２番目の埼玉県（２８６件）を大きく上回り、四街道市や成田市などの東関東自動車道沿いの地域に集中している。ある捜査員は「交通の便が良く、人目に付かない場所に建設されるのが特徴」とした上で、「何をやっているか分からないヤードもある」と明かす。

　県警は昨年１年間、ヤードをめぐる不正で２５件、３３人を摘発。うち１５件が車の盗難に関連していた。２月に柏市で発生した強盗殺人事件では、車の盗難を阻止しようとして殺害された男性の車のエンジンやバンパーが、県内のヤードで発見されている。