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<裁判員裁判>検察側、初の控訴へ 覚せい剤密輸全面無罪で
2010 / 07 / 03 ( Sat )
 裁判員裁判で全国初の全面無罪を言い渡した覚せい剤密輸事件の千葉地裁判決(6月22日)について、検察側は「事実認定に誤りがある」として控訴する方向で検討を始めた。5日にも千葉地検と東京高検、最高検で協議のうえ最終決定する。検察側が控訴すれば、裁判員裁判の判決に対しては初めてとなる。

 事件では相模原市の会社役員(59)が昨年11月、マレーシアから成田空港に到着した際に覚せい剤1キロ弱をチョコレート缶3個に隠していたとして、覚せい剤取締法(営利目的輸入)と関税法違反の罪に問われた。缶の中身を覚せい剤と知っていたことを示す直接証拠はなく、裁判では役員の認識が争点となった。役員は「缶は他人から渡され、中身は知らなかった」と主張した。

 検察側は「渡した人物が30万円の報酬を約束し、航空運賃も負担した」などの状況証拠を基に、懲役12年、罰金600万円を求刑したが、千葉地裁は「中身が分かっていたとまで言えず、犯罪の証明がない」として無罪を言い渡した。

 裁判員裁判について最高裁の司法研修所は(1)事実認定にあたり証拠の判断で著しい不合理がある(2)極めて重要な量刑事情を見落とした−−などの事情がない限り、1審を尊重すべきだと指摘しており、これまで検察側の控訴はなかった。弁護側が控訴したケースでも事実認定が覆された例はない。今回、検察側は「状況証拠だけでも認識の立証は可能で、1審判決には事実誤認がある」とみている。

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