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柴田トヨさん、きょう99歳 言葉のやさしさ、世界へ
2010 / 06 / 26 ( Sat )
 産経新聞「朝の詩」に投稿した詩などをまとめた処女詩集『くじけないで』(飛鳥新社)が、詩集としては異例の大ベストセラーとなっている宇都宮市の柴田トヨさんが26日、99歳を迎える。25日には国境を越えて韓国語での翻訳出版も決定。「世界の人に詩を読んでもらいたい」と願っていたトヨさんには、うれしい誕生日プレゼントとなった。(押田雅治)

  [フォト]140字以内の“トヨさん現象”

 『くじけないで』は3月の出版以降、全国で大きな反響を呼び、「プロでも数千部」といわれる詩の世界で23万部を突破した。「朝の詩」の選者、新川和江さんは、「アマチュアの100歳になろうというおばあちゃまの詩がこれだけ売れるなんて異例中の異例」とした上で、トヨさんが使う言葉のわかりやすさと優しさ、そして、メッセージ性を評価する。

 「出来ないからって/いじけていてはダメ」「朝はかならずやってくる」…。朝の詩は1行10字で14行以内。新川さんは、「制約があるだけに読む人の心にストレートに伝わり『人生の応援歌』に聞こえるのではないか」という。

 その反響がはっきりわかるのが出版社に送られてくる読者カードだ。

 「あと10年は生きられる自信がわいてきました」(76歳女性)「神様からの贈り物だと思いました」(32歳女性)。出版社によるとカードの送付者は、14歳から100歳まで、9割が60代と70代を中心にした女性読者という。

 韓国語での出版に加えて、“心のギャラリー”を考える美術館、点字出版や朗読CDなど各方面から注目されている。今月12日には、トヨさんが一番好きな『思い出II』の詩が、作曲家の船村徹さんによって曲をつけられ、女性歌手が披露。船村さんの大ファンというトヨさんは、「うれしくてうれしくて夢のよう。本当に詩を書いてよかった」と大感激。

 あまりのブームに一時は体調を崩したトヨさんだが、「“くじけないで”と言っておきながら、私がやめるわけにはいかない。こんなに皆さんに喜ばれているんだから、まだまだ書き続けます」と、今日もノートに向かっている。

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