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<裁判員制度>「審理に入るまでに時間」最高裁長官が懸念
2010 / 05 / 02 ( Sun )
 竹崎博允(ひろのぶ)最高裁長官は3日の憲法記念日を前に会見し、21日で制度スタートから丸1年を迎える裁判員制度について、「(起訴後)審理に入るまでに時間がかかりすぎているのが一番の問題」と懸念を示した。一方で、3月に再審無罪が確定した足利事件に触れ「裁判員制度でこうした誤りが再び起きないよう真剣に検討する必要がある」と述べた。最高裁長官が個別事件について言及するのは異例。

 竹崎長官は裁判員制度について、「国民の積極的な姿勢で、大きな混乱もなく運営されてきた。裁判員経験者の96%以上が裁判員裁判を貴重で得難い体験としている。裁判員の評価という意味では、よいスタートを切れたと思う」と語った。

 ただし、制度スタートから3月末までに起訴された対象事件のうち、判決が出たのが3割未満にとどまっている現状については、公判前整理手続きが長引き審理開始までに時間がかかりすぎる点を指摘。そのうえで「被告人の勾留(こうりゅう)(拘置)期間が長くなるうえ、証人の記憶という点で、証拠の持つ意味を低下させることになりかねない」と述べた。

 また、足利事件については「誤った裁判で刑を受けることは、刑事裁判にとって一番深刻な事態。改めて科学的知識の重要性を認識する必要がある」と発言、4月から刑事裁判官3人と専門家1人で、DNA鑑定をテーマに共同研究を始めたことを明らかにした。【伊藤一郎】

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