昨年１２月の衆院選を巡る医療法人「徳洲会」グループの公職選挙法違反容疑事件で、東京地検特捜部は２９日、自民党の徳田毅（たけし）衆院議員（４２）＝鹿児島２区＝の父で元衆院議員の徳田虎雄前理事長（７５）から任意で事情聴取した。虎雄氏は入院先の病院からテレビモニターで選挙会議に参加していたとされ、特捜部は運動員買収への関与の有無について調べを進める模様だ。虎雄氏は聴取に対し、容疑を否認したという。

　関係者によると、事情聴取は虎雄氏が入院している神奈川県鎌倉市内の系列病院で行われた。虎雄氏は全身の運動神経が衰える筋萎縮性側索硬化症（ＡＬＳ）のため声を発することができず、医師や弁護士らの立ち会いの下、専用の文字盤を目で追って意思を伝える形で聴取に応じた。

　徳洲会グループは昨年１１月の衆院解散後、病院職員らを鹿児島に派遣し、選挙運動の報酬として、日当や欠勤分の給与を賞与に上乗せして支給していた疑いが持たれている。特捜部は、こうした経緯を認識していたかなどについて虎雄氏に説明を求めたとみられる。

　虎雄氏は今月２０日に理事長を引責辞任したが、グループ内にはこれまで「公選法違反には当たらない」との見解を示している。

　特捜部は既に、文字盤による虎雄氏の発言が記録されたパソコンを押収し、選挙会議の内容を分析するとともに、他の親族からの事情聴取も進めている。

　公選法は運動員への利益供与を禁じており、候補者の父母や配偶者、兄弟姉妹などが規定に違反して禁錮以上の刑が確定した場合、連座制が適用されて当選が無効になる。【島田信幸、山下俊輔】

　ＮＨＫ放送技術研究所（東京都世田谷区）の浜崎公男元主任研究員（５５）（懲戒免職）が取引先の音響設備会社に工事を架空発注していた事件で、警視庁は２９日午前、詐欺容疑で同研究所などを捜索、強制捜査に乗り出した。

　捜査関係者によると、ほかに捜索に入ったのは、世田谷区内の音響設備会社や千葉県内の浜崎元研究員宅など数か所。元研究員は２００４年度以降、ＮＨＫが音響設備会社に対して行った計１４件約４２００万円の発注に関わっており、同庁は工事の書類や経理資料などを中心に調べている。

　浜崎元研究員は昨年３月、研究所にあるスタジオの音響設備工事を発注したように装って、同社に約２８０万円を振り込ませていた疑いが持たれている。ＮＨＫは詐欺容疑で元研究員と音響設備会社の男性役員（４６）の告訴状を同庁に提出し、受理されている。同庁は、ＮＨＫから書類の任意提出を受けるだけでは不十分だと判断し、強制捜査に踏み切った。

　太田昭宏国土交通相は29日の閣議後記者会見で、2014年4月の消費税率引き上げに合わせて、1円刻みの鉄道運賃を認可する方針を明らかにした。これを受け、JR東日本などの鉄道事業者は、「Suica（スイカ）」などICカード乗車券に限って1円刻みとする運賃改定を国土交通省に申請する見通しだ。　

　２０２０年夏季五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の改築費を巡り、政府が都に対し、少なくとも３割の負担を求める方針であることが２８日、分かった。

　協議はすでに行われ、文部科学省は「改築で最も恩恵を受けるのは都だ」として一部負担を求めたが、都はこれを拒否、協議は暗礁に乗り上げている。

　新国立競技場は、東京都新宿区にある現国立競技場を解体して跡地に建設し、１９年春の完成を予定している。開閉式の屋根がついたドーム型競技場で、９レーンのトラックを敷設し、収容可能人数は８万人と設定している。文科省は新競技場のデザイン決定に際し、総工費を約１３００億円と算出したが、改築が決まった当時、五輪開催地は未定で、１９年のラグビー・ワールドカップ（Ｗ杯）の会場としての使用が想定されていた程度だったため、政府内には巨額の費用を疑問視する声が上がっていた。

トルコへ向けて政府専用機に乗り込む安倍首相（２８日午前１０時２６分、羽田空港で）＝前田尚紀撮影

　安倍首相は２８日午前、トルコ・イスタンブールを訪問するため、政府専用機で羽田空港を出発する。

　首相のトルコ訪問は５月以来で、半年以内に同じ国を再訪するのは異例だ。３０日に帰国する予定。

　首相はトルコ建国記念日の２９日午後（日本時間同日夜）、ボスポラス海峡のアジア側と欧州側を海底トンネルでつなぐ地下鉄の開通式典に、エルドアン首相とともに出席する。地下鉄は円借款を利用して建設され、大成建設が工事を手がけた。

　２９日夜（日本時間３０日未明）のエルドアン氏との首脳会談では、トルコの原子力発電所建設計画について意見交換し、優先交渉権を得た三菱重工業などの受注を確実にしたい考え。トルコ隣国のシリアの難民支援などについても協議する。