政府は30日、各地域で成長戦略を検討するための「地方産業競争力協議会」を11月19日に東北と九州で設置する方針を固めた。関東、近畿、東海など他の7地域でも今後、順次発足させる。政府は成長戦略に協議会創設を盛り込んでおり、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を地方にも波及させたい考えだ。
　東北の協議会は秋田市で開催し、東北6県と新潟県の知事のほか産業界の代表らが参加する。九州は福岡市で開催し、九州に沖縄、山口両県を加えた9県の知事や企業経営者らが参加。農業、観光などを個別テーマとした分科会を設置する見通しで、関係省庁の出先機関もオブザーバーで出席する。　

　公募による日本美術展覧会（日展主催）の審査で入選数を会派別に割り振る不正があったとする一部報道があり、日展は30日、調査委員会を発足させる方針を明らかにした。31日の理事会で正式決定し、11月中に結論を得たいという。
　報道によると、不正があったのは2009年、「書」の中で石材などに文字を掘る篆刻（てんこく）部門。前年度の会派別入選数を守るよう顧問から指示があり、その通りになったとされる。
　日展は「不正はあり得ない」としているが、同日、文化庁から説明を求められ、事実関係を調査すると答えた。　

　埼玉県川口市で今月１０日、男がトラックで民家に突っ込み、住人をのこぎりで切りつけた事件で、殺人未遂容疑で逮捕された男が事件の直前、民家の隣の自宅アパートに放火した疑いがあることが捜査関係者への取材でわかった。埼玉県警は３０日午後にも、現住建造物等放火の疑いで男を再逮捕する方針。

　男は同市南鳩ケ谷１丁目、会社員平田昭夫容疑者（４０）。捜査関係者によると、平田容疑者は１０日午前６時過ぎ、アパート１階の自宅玄関に火をつけ、付近を焼いた疑いがある。平田容疑者は、殺人未遂容疑について黙秘しているという。

　平田容疑者は放火直後の午前６時２０分ごろ、勤め先の２トントラックで民家に突っ込んだとみられる。

　この事件で、平田容疑者ともみ合った４０～８０代の住人の男女３人が頭や手に軽いけがを負い、助けに入った７０代の男性が足を打撲した。

　政府の産業競争力会議メンバーの三木谷浩史楽天会長兼社長が２９日、同会議の分科会に出席し、一般用医薬品（市販薬）のインターネット販売について「処方箋薬まで展望した医薬品のネット販売は、今後増大が予想される医療費の削減に寄与する」と述べ、副作用のリスクが高い「劇薬」を含め全てを解禁するよう改めて主張した。

　政府は「劇薬」５品目のネット販売を禁止し、医療用から切り替え直後の市販薬については、一定期間後に解禁する方向で調整している。

　今国会に見直しを盛り込んだ薬事法改正案を提出する方針だが、三木谷氏は同改正案に反対の立場で、調整は難航している。

　これに関連し、自民党の「医薬品のネット販売に関する議員連盟」（会長・尾辻秀久元厚生労働相）は２９日の総会で、政府内の調整に時間がかかるようであれば、ネット販売を規制する同法改正案を議員立法で今国会に提出する方針を確認した。

　AIJ投資顧問による年金資産詐欺事件で、香港にある元社長浅川和彦被告（61）の資産を没収するよう、東京地検が30日に東京地裁で開かれる公判で求刑する方針を固めたことが29日、関係者の話で分かった。香港政府から返還を受け、被害を受けた年金基金に分配することを検討している。
　詐欺などの犯罪で得た資産を被告から没収・追徴し、被害者に分配できる法律が2006年に成立して以降、実現すれば海外資産では2例目とみられる。
　関係者によると、浅川被告は香港の銀行口座にAIJが年金基金から集めた資金など約6億円を保有。基金側は、任意の引き渡しを求めて交渉しているが、同被告は応じていない。
　東京地検は、被害者が損害賠償請求するのが困難な場合、財産を没収・追徴できると規定した改正組織犯罪処罰法に基づき求刑する方針。判決で認められれば、香港当局と交渉し、返還を受ける見通しという。