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橋下知事また私立小中の助成削減方針…私学反発
2010 / 07 / 31 ( Sat )
 財政悪化に苦しむ大阪府の橋下徹知事が、「財政構造改革」の目玉として、来年度からの私学助成の見直しを打ち出し、私学関係者が危機感を募らせる。

 焦点は私立小中学校への助成金で、橋下知事は「義務教育は公立の受け皿がある。私立に行くなら保護者が対価を支払うべきだ」と大きく切り込む構えだ。知事就任直後の2008年度に25%カットしたことにより、私立小中への助成は全国最低水準になっており、私学側は「これ以上削減されれば、経営が立ち行かない」と戦々恐々。授業料値上げが相次ぐ可能性も高く、保護者からも反対の声が上がる。

 ◆「仕方ない」◆

 「そもそも私立小中への助成は必要か」「(授業料が上がり)大阪は私立小中に通わせにくいと言われても、仕方がない」。府庁で今月中旬に開かれた会議では、橋下知事から削減を示唆する発言が相次いだ。

 景気低迷による財政悪化で、府は来年度以降の3年間で475億円をひねり出す財政構造改革案を策定中。8月上旬の発表に向け、今年度予算で総額約680億円に上る私学助成も、議論の俎上(そじょう)に上がった。

 ◆予算を高校へ◆

 私学助成は、橋下知事の就任直後の08年度にも削られ、10年度までの3年間で計169億円がカットされた。今回の削減幅は未定だが、府幹部は「私立小中への助成は全廃という意見もある。知事も相当切り込むつもりだ」と明かす。

 私立小中への助成削減分は、今年度から年収350万円未満の世帯を対象に実施している私立高授業料無償化制度に予算を回し、対象を年収680万円未満にまで広げる方針という。

 府内では09年度、公立小に通う児童数は約48万8000人で、私立小は約8000人。中学では、公立の生徒数約22万2000人に対し、私立は約2万4000人。「小中で私立に通う子供は1割以下しかいない。高校は、公立入試に落ちて、私立に通うことを余儀なくされる生徒もいる。高校の対策が最優先」というのが橋下知事の理屈だ。

 ◆「撤回を」◆

 府によると、私立中の生徒1人当たりの平均的な教育費は年約80万円。うち4分の1を助成で、残りを授業料収入で賄っており、私学にとって助成削減は大きな打撃となる。

 08年度からの削減で、府の私立小中に対する経常費助成額は、児童・生徒1人当たりで小学校が18・3万円、中学校は21・4万円と、近畿の他府県より3〜10万円低い。大阪私立中学校高等学校連合会は「なぜ大阪だけ極端に減額されるのか」と、削減撤回を求めていく方針だ。

 08年度の削減時には、府内の私立中の半数を超える34校が授業料と入学金を合わせ平均5万8500円の値上げを実施した。大阪私立中学校高等学校保護者会連合会の田尻忠邦顧問は「いじめや不登校を理由に私立に転校する子供もいる。ある程度は保護者負担に配慮してほしい」と主張する。

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