＜福島第１原発＞東電未払い除染費用の一部８７億円支払いへ

　東京電力福島第１原発の事故後、国が立て替えた除染費用について東電の支払いが滞っている問題で、井上信治副環境相は１５日、東電が１カ月以内に８７億円を払うと伝えてきたことを明らかにした。環境省はこれまでに計４０４億円を請求、東電の支払いは約６７億円にとどまっている。

　追加の８７億円は、直近の４回目の請求額１９２億円のうち、国の直轄除染分。同日、井上副環境相と面会した東電の石崎芳行副社長は「法令を踏まえ責務を果たす。政府の請求に応じ、費用はきちんと支払う」との意向を示したという。井上副環境相は「残りも支払ってもらうため、引き続き要請していく。支払いが円滑に進むよう手続きのルールを作りたい」と述べた。

　石原伸晃環境相も同日の閣議後記者会見で「汚染者負担の原則を崩すと、すべてが崩れる。しっかり払っていただかなくてはならない」と強調した。

　東電は「負担が大きくなりすぎる」として費用の多くを未払いにし、今の制度を変えて国費で負担するよう政府や与党に働きかけてきた。しかし、福島復興の加速に向けて与党が１１日に示した提言は東電の主張を入れず、自民党の環境部会でも「不満なら裁判を起こせばいい」などと逆に早期支払いを求められる結果になった。

　東電は請求に含まれる写真展などの広報費や事務費などの負担については「主張すべきは主張していく」（東電幹部）となお不服の姿勢で、環境省と協議を続ける方針だ。【下桐実雅子、浜中慎哉】