１級建築士と偽り４８件設計か　福岡県が刑事告発へ

　福岡市博多区の建築士事務所の男性社長（６６）が、資格がないのに１級建築士と偽って設計をしていたとして、福岡県は１３日、建築士法に基づき、事務所を１カ月間の閉鎖処分にすると発表した。男性は詐称を始めてから計４８件の構造設計を担当していたとみられ、県は同法違反容疑などで男性を県警に刑事告発する。

　建築士事務所は「ｎ―ｓｐａｃｅ建築」。事務所は２００８年開設され、男性は１０年に代表に就任した。県によると、事務所には１、２級の建築士が各２人ずつ在籍。県は、男性がこの事務所で設計を担当した建物のうち、一戸建て住宅や事務所など４件について耐震性などを調べ、安全性に問題がないことを確認した。

　男性は、この事務所の前に１９９０年から約１６年間、福岡市内で無登録の建築士事務所を営んでいたことも判明。当時から１級建築士を名乗って、設計業務をしていたといい、福岡市、北九州市など福岡県内のほか、熊本や長崎、鹿児島など他県の５件を含む計４４件のマンションやオフィスなどの構造設計を担当した可能性があるという。これらの建物の安全性について、福岡県は「関係自治体と確認を急ぐ」という。