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尼崎連続変死 実刑にのど元震わせ…美代子元被告の「支配」詳細に
2013 / 10 / 31 ( Thu )

尼崎連続変死 実刑にのど元震わせ…美代子元被告の「支配」詳細に

産経新聞 10月31日(木)15時18分配信

 兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件の端緒となり、初めての裁判員裁判の判決が31日、神戸地裁で言い渡されたドラム缶遺体事件。公判では、主犯格とされる角田美代子元被告=自殺、当時(64)=の凄惨(せいさん)な虐待による「支配」の手口が改めて明らかになった。大江和子さん=当時(66)=を虐待して衰弱死させ、遺体をコンクリート詰めにした娘ら3人は責任能力を否定して無罪を主張したが、裁判員が下したのは「有罪」だった。

 午前11時、大江さんの長女、香愛(かえ)被告(45)はグレーのTシャツにジーンズ、次女の裕美(ゆみ)被告(42)、その元夫、川村博之被告(43)は上下とも黒っぽい服装で入廷した。

 3被告ともやつれきった様子。神妙な面持ちで横一列に並び、判決の瞬間、執行猶予が付いた娘2人と違い1人だけ実刑となった川村被告ののど元が大きく動いた。裕美被告は涙をこらえるような表情でハンカチを両手で握りしめ、香愛被告は小さくうなずいた。

 法廷での供述によると、川村被告がクレーム対応をきっかけに元被告と知り合ったのは平成21年春。連日電話で呼び出されては怒鳴り散らされた。「一家むちゃくちゃにしたる」と恫喝(どうかつ)され、22年4月、長年勤めた私鉄を去った。

 ただ、川村被告が「怒ると怖いが悪い人ではない」と供述したように、元被告は恫喝と甘い言葉を巧みに使い分け、川村被告に「(元被告を)頼るしかない」と依存心を深めさせた。元被告は裕美被告との離婚や自宅の売却などを持ち出し、“家族会議”を開催。3被告に暴力をふるい、「他人の私が怒っているのに、身内が手を出さないのか」と家族同士で殴ることを強要した。家族間暴力が常態化するうちに、川村被告は「抵抗はあったが、元被告の指示に従うしかない」と歯向かう気力を失ったという。

 大江さんは虐待を受けた末に23年9月に死亡したが、川村被告は当時の心境について「何にも感じていなかった」と吐露した。

 最終意見陳述では「当時は全てが異常だった。自分がしっかりしていれば家族を守れた」と悔し涙を流した川村被告。判決が読み上げられる間、紅潮した表情で前を見据え続けた。



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