＜期限切れ薬＞関東の業者、ネットで販売　ヤフーが削除

　インターネット検索大手「ヤフー」が運営するネット上の商店街「Ｙａｈｏｏ！ショッピング」で７月下旬、医薬品を扱う関東地方の業者が「使用期限切れ」と表示して一般用医薬品（市販薬）を市価より安く販売していたことが、厚生労働省などへの取材で分かった。安全確保のルールがまだ策定されていない市販薬のネット販売で、こうした問題が発覚するのは初めて。同省はルールに期限切れの薬を販売しないよう盛り込む方針だ。

　◇厚労省、規制へ

　厚労省やヤフーによると、ネット監視を担当する東京都職員が７月下旬、数種類の市販薬が「使用期限切れ」とした上で市価より安く販売されているのを発見、ヤフーに連絡した。ヤフーは同社の指針に違反する不適切な商品と判断し、強制的に販売ページを削除。ヤフーは販売された薬の名称については公表しておらず、期限切れの薬が実際にどれぐらい販売されたか分からないという。

　薬事法では、使用期限の切れた医薬品の販売について規制していないが、成分が変質した薬の販売は禁じている。期限切れの薬は成分が変質している恐れがあり、服用して副作用が出ても公的な救済制度の対象にならない可能性もあるという。

　同省は９月中旬、同様の事例があれば報告するよう全国の自治体に要請したが、これまでに報告はないという。

　ヤフー広報部は「消費者に不安感を与えるのでページを削除し、業者側も申し訳なかったと言っている。今後はパトロールを強化したい」と話す。

　市販薬のネット販売を巡っては、最高裁が１月にネット販売を認めない厚労省令を違法と判断し、政府が６月に原則解禁の方針を表明。厚労省は有識者検討会の提言に沿って販売ルールの策定を急いでおり、早ければ年明けにも施行の見込みだ。【桐野耕一、水戸健一】