＜福知山線脱線事故＞事故現場「一部保存」に７割賛成

　ＪＲ西、遺族・負傷者にアンケート

　乗客１０６人と運転士が亡くなったＪＲ福知山線脱線事故（２００５年４月）で、事故現場となったマンション（兵庫県尼崎市）のあり方について、ＪＲ西日本が遺族・負傷者に実施した今年２月のアンケートで、「一部保存」の案に回答者の約７割が賛成していることが分かった。同社はアンケート結果を踏まえ、今秋に予定されている被害者説明会で「マンションの一部保存、慰霊碑の設置」などを軸に、新たな具体案を提示する方針。

　遺族・負傷者に対する現場マンションのあり方についてのアンケートは３度目。昨秋の被害者説明会でＪＲ西は、マンションの一部を保存する一方、「マンションを見るとつらい」との声に配慮して周囲から見えないようにしたり、緑に囲まれた空間に慰霊碑を設け、事故資料を展示、保管する案を提示した。今回のアンケートは、この案などについて意見を聞き、遺族８１組、負傷者５６２人のうち８３人から回答を得た。

　マンションの保存を巡っては同社が提案するマンションの一部、線路脇の車輪痕などを保存する「一部保存」案に、遺族５２組（６４％）、負傷者６５人（７８％）が賛成した。「反対」は遺族１５組（１８％）、負傷者１１人（１３％）。一方、マンションの「全部撤去」を求めたのは遺族７組（８％）、負傷者５人（６％）、「全部保存」を求めたのは遺族３組（３％）、負傷者で求めた人はいなかった。

　慰霊碑の設置については遺族の５８組（７１％）、負傷者の７３人（８７％）が賛成と回答した。また事故に関する新聞記事などを保管、展示する構想は遺族の４５組（５５％）、負傷者の６７人（８２％）が賛成した。

　遺族らの中には「ＪＲが構想を示すべきだ」との声が強くある。ＪＲ西は「あくまで検討の過程における考え方を示すということに変わりはない。引き続き、意見を伺いながらまとめたい」としている。【道下寛子、石戸諭】