＜山口・島根豪雨＞死者１人、行方不明３人

　記録的豪雨から一夜明けた２９日、山口、島根両県の被災地では、道路の寸断などで孤立状態にある施設から被災者を救助する活動が本格化した。この豪雨で山口県では萩市上小川東分（かみおがわひがしぶん）の田島美乃さん（７９）が死亡、同市須佐中畑の男性（８４）が行方不明となっているほか、新たに同市須佐の国道１９１号脇で車が見つかり、運転していたとみられる福岡県の６０代男性と連絡がとれず行方不明となっていることが分かった。これで両県の人的被害は死者１人、行方不明者３人となった。負傷者は両県で１０人。

　山口県や同県警などによると、萩市、阿武町、山口市で計９人が打撲などのけが。住宅の被害は全壊６棟、床上・床下浸水は少なくとも５２９棟。半壊や一部損壊については調査が進んでいない。また、島根県によると、津和野町で計２棟の家屋が流出・全壊し、益田市、吉賀町と合わせて計４５棟の家屋が床上・床下浸水した。住宅被害は両県で５８０棟以上となった。また、島根県津和野町名賀（なよし）地区で避難所に向かう途中で行方不明となった男性（２４）が依然、見つかっていない。

　一方、豪雨の影響で孤立していた萩市の特別養護老人ホーム「阿北苑」（入居者、職員計約８０人）▽山口市の「十種ケ峰青少年自然の家」（子供１２１人を含む２０４人）−−は、陸上自衛隊や消防のヘリなどで全員が救助された。島根県側の津和野町では複数の地区の道路が寸断され、２地区の住民計９２人が依然として孤立している。

　鉄橋が３カ所で流されたＪＲ山口線は全線の８割以上で運転見合わせが続き、復旧には数カ月かかる見通しという。国道１９１号は萩市須佐で崩土のため全面通行止めが続いている。

　下関地方気象台によると、山口県内は３０日も大気が不安定で、３０日午後６時までの２４時間に、多い所で１００ミリの降雨を予想し、土砂災害などへの警戒を呼びかけている。【尾村洋介】