＜福岡・偽装質屋＞質草同じでも貸付金アップ

　福岡市博多区のダイギンエステート社を巡る「偽装質屋」事件で、複数回利用した顧客に対し、店側が同一の質草で貸付金額を引き上げていたとみられることが顧客への取材で分かった。福岡県警によると、貸金業法違反、出資法違反容疑で逮捕されたダ社の大山晟徳（せいとく）容疑者（６１）ら４人は「質屋として営業していた」と容疑を否認しているが、県警は、ダ社側が質草の価値に関係なく貸し付けるなど実態としてヤミ金だったとみて調べている。

　２０１０年１０月に福岡市中央区の店舗を利用した同市の７５歳男性は、事前に通信販売で５０００円で購入したネックレスを質入れし、３万円を借りた。

　ネックレスを預け、新たな質草を入れないまま２カ月後に７万円、４カ月後に１０万円を借りたという。男性は「希望額を言えば、手渡しで簡単に貸してくれた」と振り返った。

　福岡市の６９歳男性は１１年１０月、同市博多区の店舗で壊れて動かない腕時計を質入れし、８万円を借りた。男性は年金受給日に利息分も合わせて全額返済した上で、同じ腕時計で１０万円を借りた。

　この他、取材した男女５人全員が同じ質草で借り入れを繰り返し、額も増えていた。

　県警によると、ダ社と、大山容疑者の次男でダ社専務、貴博容疑者（３０）＝同容疑で逮捕＝が社長を務める「恵比寿」（福岡市博多区）は０７年１１月～１２年１０月、少なくとも約９６００人に約７４億円を貸し付けていたという。県警が逮捕容疑の質草を調べたところ、最高でも５００円程度の価値しかなかったという。【福永方人、尾垣和幸】