＜牧場＞１．８億円脱税容疑…千葉・栃木、東京国税局告発

　千葉県や栃木県で約４０００頭の牛を飼育する３牧場が約１億８０００万円を脱税したとして、東京国税局が経営者らを法人税法違反容疑で千葉地検に告発したことが分かった。このうち２牧場の遊休地には太陽光発電パネルが並び、年内にも東京電力に売電する契約を結ぶ予定。東日本大震災の風評被害などで飼育頭数が減少する中、隠した所得の一部を発電事業の設備投資に回した可能性があるという。

　関係者によると、告発されたのは、伊東牧場（千葉県袖ケ浦市）▽ユウキュウ牧場（同県木更津市）▽カネイ牧場（栃木県市貝町）−−の３法人と、３牧場を実質的に経営していた伊東勇太代表（３２）、父の勇役員（６０）。伊東代表らは肉用牛の販売先に現金支払いを求めたり、個人名義の口座への入金を依頼したりして売却代金を売り上げから除外。２０１１年５月期までの３年間に６億５０００万円余の所得を隠し、法人税を免れた疑いが持たれている。

　登記簿によると、発電事業は１２年７～８月に伊東牧場とユウキュウ牧場の事業に加わった。牧場に設置された発電パネル（計２００キロワット）は一般住宅に設置される設備の５０倍近い規模。隠した所得は発電事業のほか、遊興費や有価証券購入などに充てたとみられる。

　伊東代表は弁護士を通じ「国税当局から指摘があり、修正申告した。明らかな違法行為で深く反省している」とコメントした。

　民間信用調査会社によると、震災発生以降は出荷頭数が大幅に落ち込んでいたという。【太田誠一】