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<原子力委>04年にも秘密会議 「露見なら解散」
2012 / 05 / 26 ( Sat )
 使用済み核燃料を再利用する核燃サイクル推進側による秘密会議問題で、現行の原子力政策大綱(05年閣議決定)作成準備期間中の04年にも、内閣府原子力委員会が「原子力を巡る勉強会」と称する同種の会議を開いていたことが毎日新聞が入手した文書で分かった。少なくとも04年4月までに10回開催され、核燃サイクル政策について協議していた。出席した近藤駿介原子力委員長(69)は当時「表に出た瞬間にやめる」と発言したとされ、隠蔽(いんぺい)体質は8年前から続いていた。【核燃サイクル取材班】

 毎日新聞が関係者から入手した文書の表題は「第2回原子力を巡る勉強会」。04年1月29日午前8~10時に開かれた。場所は今回発覚した昨年11月~今年4月の秘密会議と同じ中央合同庁舎4号館743会議室。近藤委員長が「表に出た瞬間に勉強会をやめる」と発言したと記載され、存在が露見すればすぐ解散する方針だった。

 「座席表」が付され、近藤委員長のほか▽斎藤伸三委員長代理▽前田肇(はじむ)委員▽町末男委員▽経済産業省・資源エネルギー庁の安井正也原子力政策課長▽文部科学省の渡辺格(いたる)原子力課長▽東京電力原子力計画部幹部▽関西電力原子力事業本部幹部(肩書はいずれも当時)−−ら15人の氏名が記載されていた。推進派ばかりで慎重・反対派はいなかった。

 毎日新聞は「第7回原子力を巡る勉強会」(04年3月11日開催)と題した別文書も入手した。再処理工場で使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、高速増殖炉(FBR)で使う核燃サイクルが議題だった。国側が「21世紀後半からFBRを導入するなら電力でやる(経営する)のか」と尋ねると、事業者側が「経済性がなければできない」と難色を示し、国側が「電力ではないのか(電力でやるべきだ)」と押し返す様子が記載されている。結局、原子力政策大綱にはFBRは2050年ごろから商業ベースで導入を目指すと定められた。

 8年前の勉強会はデータ整理にとどまらず、大綱の核心部分の一つを論議していた。今回の秘密会議も、今夏にも策定する新大綱のうち、核燃サイクル見直しを巡って開かれたことが分かっている。

 当時を知る経産省関係者は「ムラだけの秘中の秘で、着々と準備を進めていた。今回も秘密会議を開いていたと聞いて、原子力ムラは原発事故以降も何も変わっていないと思った」と話した。

 近藤委員長は毎日新聞の取材に「確かに勉強会はあった。議案を配布するようなものではなく、海外の事例などを研究するもので問題はない。(表に出たら解散すると言った)記憶はないが出席者に『注意してちょうだい』とは言った」と話した。

 【ことば】原子力政策大綱

 内閣府原子力委員会が約10年間の国の原子力政策の基本方針を定めるもので、5年をめどに見直される。05年10月に決定した現行大綱は原発依存度を30~40%以上とし、使用済み核燃料の全量再処理路線継続も盛り込んだ。現在は立地自治体や財界関係者、研究者ら27人で構成する「新大綱策定会議」が見直し作業を進めている。

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