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<防衛大綱>中国の動向に「懸念」初めて明記…政府原案
2010 / 12 / 10 ( Fri )
 政府が6年ぶりに改定する「防衛計画の大綱」(防衛大綱)の原案の概要が9日、明らかになった。軍事力の増強や海洋進出を進める中国の動向について初めて「地域や国際社会の懸念事項となっている」と明記する。こうした情勢認識に従い、自衛隊の配置を南西地域へシフトする方針を示す。菅直人首相が連携を求めた社民党に配慮し、武器輸出三原則の見直しは盛り込まないものの、「国際共同開発・生産にかかる装備品等の海外移転の円滑化を図る」との表現で必要性を指摘する。【坂口裕彦】

 ◇三原則緩和、必要性は指摘

 政府は10日に安全保障会議を開いて大詰めの調整を行い、来週中に新大綱を閣議決定したい考え。戦闘機などの国際共同開発参加と、国連平和維持活動(PKO)派遣時に持ち出した装備の関係国への供与を武器輸出三原則の禁止対象から外す方向で検討していたが、社民党の反対を受け見送り、「国際共同開発・生産に参加することで、装備品の高性能化を実現しつつ、コストの高騰に対応することが先進諸国で主流になっている」などと指摘するにとどめる。

 中国については、国防費を毎年増やし核・ミサイル戦力や海・空軍を急速に近代化させていると指摘する。「周辺海域において主権的権利に関する独自の主張を強めながら活動を拡大、活発化させている」と東シナ海などでの軍事・経済活動に懸念を示す。

 東アジア地域は北朝鮮の核・ミサイル開発や軍事的挑発を含め不安定な安全保障環境にあることから、旧ソ連の侵攻を念頭に独立国として必要最小限の防衛力を整備する従来の「基盤的防衛力構想」から脱却。多様な脅威に機動的に対応する「動的防衛力」の整備を新たな概念として打ち出す。

 具体的には、南西地域の防衛態勢を強化するため、警戒監視や洋上哨戒、弾道ミサイル防衛(BMD)など海・空の防衛力を重点的に整備する。特に島しょ部を「自衛隊配備の空白地域」とし、「必要最小限の部隊を新たに配置する」ことも盛り込む。沖縄県・与那国島などへの陸上部隊配置を想定。冷戦型の装備を減らす一環として、04年に改定した現大綱で約600両とされた戦車は400両以下に削減する。PKO参加5原則の緩和へ向け「あり方を検討する」ほか、首相官邸に国家安全保障に関する首相への助言組織を設置することも盛り込む。

 ◇防衛大綱原案の骨子◇

・中国の動向は、地域や国際社会の懸念事項

・北朝鮮の軍事的動きは地域安全保障の喫緊、重大な不安定要因

・日米同盟を深化・発展。米、韓、豪との多国間協力を強化

・装備品の国際共同開発・生産が先進国では主流

・「基盤的防衛力構想」から「動的防衛力」に転換

・自衛隊の地理的配置を見直し、南西諸島の防衛態勢強化。「空白地域」の島しょ部に必要最小限の部隊設置

・国連平和維持活動(PKO)参加5原則のあり方検討

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