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東京医大八王子センター、生体肝移植前に寄付金
2010 / 04 / 28 ( Wed )
 東京医科大八王子医療センター(東京都八王子市)が、生体肝移植手術を受ける患者に寄付金の提供を依頼し、2年余りの間に11人から総額1173万6000円を受け取っていたことがわかった。

 依頼は手術前に行われ、外部の病院から手術の応援に招いた医師への謝礼や、保険適用外の薬の購入などに使われた。生体肝移植手術は保険適用だが、それ以外の保険外負担を患者から徴収していたともいえ、保険診療と保険外診療の併用を禁じた混合診療の疑いもある。

 読売新聞が入手した資料や関係者の話によると、寄付金は2005年10月から08年1月の間に、最も多い人が300万円(最少は9000円)、8人が100万円以上を納めていた。この時期、同センターで生体肝移植手術を受けた25人全員に寄付を求め、11人が寄付した。

 寄付は、移植を担当する同センター第5外科教授(当時、既に退職)や准教授(同)が、手術前に「移植医療の振興が目的」と説明し、依頼していた。ある患者・家族は「任意とはいえ、断ると移植手術をしてもらえなくなるのではないかと考え、寄付を行った」と打ち明ける。

 寄付金の一部は、手術の指導役として招いた京都大学病院医師らへの謝礼に充てられた。患者によって肝臓移植への保険適用が認められていない薬を用いる場合があり、この薬の購入費にも患者・家族からの寄付金が使われていた。

 高沢謙二センター長は「保険適用外の薬を使ったのは、治療効果が高いとされるからだ。寄付は任意なので混合診療に当たらないと思う。ただし、厚生労働省などから指摘された場合、(診療報酬の返還など)適切な対応をするつもりだ。謝礼は移植医療の振興の一環であり、問題ない。手術前に寄付を募ったことは好ましくなかった」と話す。

 同センターでは00~07年に実施した生体肝移植手術52例で20人が在院中に死亡し、09年12月「医師の技術力に問題があった」などとする報告書を発表。現在は手術を中止している。

 ◆混合診療=公的な医療保険のきく保険診療と、保険のきかない自由診療を併用すること。「経済力により受けられる医療に差が出る」などの理由から、国が認めた一部の例外を除き原則禁止されている。併用した場合は、保険診療の部分も含め、すべて自費になる。一方、保険外治療との併用を希望するがん患者が原告となり、「禁止は不当」とする裁判が係争中。経済界からは再三、規制緩和の観点から、解禁を求める声が上がっている。

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