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<耳かき店員殺害>11月1日午後に判決 東京地裁
2010 / 10 / 30 ( Sat )
 東京都港区で09年、耳かきエステ店員の江尻美保さん(当時21歳)ら2人を殺害したとして殺人罪などに問われ、裁判員裁判で初めて死刑を求刑された無職、林貢二(こうじ)被告(42)に対する判決が11月1日午後、東京地裁(若園敦雄裁判長)で言い渡される。2人殺害という結果を重視して究極の刑罰を適用するのか、前科がなく反省しているという事情を酌んで極刑を回避するのか。裁判員らは評議時間を予定より延長し、1日午前まで議論を続ける。

 起訴状によると、林被告は09年8月3日、江尻さん方に侵入。祖母の鈴木芳江さん(同78歳)をナイフで刺すなどして殺害した後、2階で江尻さんの首を別のナイフで突き刺し、9月7日に死亡させたとされる。被告側は起訴内容を認め争点は情状に絞られている。

 最高裁が83年に示した「永山基準」によると(1)事件の性質(2)動機(3)殺害手段の執拗(しつよう)性、残虐性(4)結果の重大性(特に被害者の数)(5)被害感情(6)社会的影響(7)被告の年齢(8)前科(9)事件後の情状−−を総合考慮し、刑事責任が重大でやむを得ない場合に死刑が許されるとされている。

 論告で検察側は鈴木さんの首をナイフで16回以上刺すなどした執拗さと残虐さを強調。遺族が極刑を求めていることにも触れ「行為と結果を重視すべきで、反省していることや前科がないことは特に酌むべき事情には当たらない」と主張した。

 事件当時18歳の元少年が殺人罪などに問われた山口県光市の母子殺害事件の上告審で、永山基準の(1)〜(5)を重視し、「年齢が若いことは死刑を回避すべき決定的事情と言えない」と指摘して1、2審の無期懲役を破棄した最高裁判決(06年6月)に沿った形だ。

 一方、弁護側は「被告は約1年間にわたり長時間、耳かき店で過ごし、唯一の憩いの場だったのに来店禁止で困惑状態に陥った」などと動機に酌むべき事情があると主張。「被告は深く反省している」と死刑回避を求めた。林被告は死刑求刑にも淡々とした様子だったといい、弁護側関係者は「厳しい求刑は予想していたようだ」と話した。

 6人の裁判員と3人の裁判官は26日から4日間評議を行った。11月1日午前11時の予定だった判決言い渡しは午後3時半に延期となり、同日午前も評議を続けるという。9人の意見が一致しない場合は多数決で量刑が決まるが、被告を死刑とするには裁判官1人を含む5人の賛成が必要になる。仮に裁判員6人が死刑を選択しても、裁判官3人が否定した場合は極刑は回避される。【伊藤直孝】

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