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<帝京大病院>感染1例目…直前渡航歴なし、既に国内拡大か
2010 / 09 / 07 ( Tue )
 帝京大病院(東京都板橋区)で発生した多剤耐性菌アシネトバクター・バウマニによる院内感染で、09年8月にこの菌が検出され感染1例目とされた患者には、入院直前の渡航歴などがないことが分かった。国内で過去に公表された同菌の感染事例4例のうち3例は、海外の病院から転院してきた患者が持ち込んだとみられるが、今回は国内で感染した可能性が高い。専門家は「国内で広まっていることを前提に、感染拡大防止を図るべきだ」と訴えている。

 帝京大病院によると、1例目とされるのは悪性リンパ腫で入院していた男性(72)。09年11月に死亡し、感染と死亡の因果関係はないと判断された。感染経路は調査中だが、「海外との関連を裏付ける情報は得られていない」という。

 同菌を巡っては福岡大病院で09年1月、韓国の病院から転院した患者を発端とする院内感染が発覚。同年7月には千葉県船橋市の市立医療センターで、20代の患者から抗生物質が全く効かない超多剤耐性菌のアシネトバクターが検出された。今年も愛知医科大病院で59歳男性から検出。それぞれ米国やアラブ首長国連邦から転院してきた患者で、海外で感染した可能性が高い。

 一方、10年2月以降に24人が感染した藤田保健衛生大は、感染経路を調査中という。

 賀来満夫・東北大教授(感染制御学)は「アシネトバクターは既に国内で広がっていることが否定できない。それを踏まえて監視体制を強化し、感染拡大の防止策を徹底すべきだ」と指摘している。【佐々木洋、福永方人】

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