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排出量取引 環境省3案提示へ 電力会社に配慮
2010 / 08 / 31 ( Tue )
 企業ごとに温室効果ガスの排出目標を定め、未達成企業は目標に余裕のある企業から排出枠を購入して目標を守る「国内排出量取引制度」の環境省原案が明らかになった。3通りの方式を盛り込んだが、このうち電力会社には電力量あたりで排出上限を決める「原単位方式」を採用し、それ以外の企業は総排出量に上限を設ける「総量方式」とする案を軸にしている。31日午後の中央環境審議会小委員会で提示する。

 制度の対象となるのは、電力や鉄鋼、自動車など温室効果ガスを大量に排出している企業で、13年度から実施する。ただし、鉄鋼など国際競争が激しい業界や、エコカーや省エネ機器を生産する企業には優遇策を検討する。

 これまで環境省は業種を問わず、企業ごとに排出総量を定め日本全体の排出量を減らすことを目指してきた。しかし、産業界は好景気で商品などの生産が増えると、大幅に排出削減することは難しいと反論。発電量1キロワット時や鉄1トン、車1台など生産量あたりの排出量を定める原単位方式を望む声が強かった。

 環境省は、企業や家庭といった利用者の需要で発電量が左右され、それに伴う温室効果ガス排出量も変動しやすい電力会社に配慮。電力以外の企業には過去の排出量や業界ごとの自主目標を基準に、排出目標を決める案を明記した。

 残り2案は、電力会社を含め「すべての企業に総量規制」を課す方式と、「すべての企業に原単位を適用する」方式とした。前者の案では、必要な排出枠を購入する方式を示しており、企業負担の大きさが懸念される。後者は、生産量が増えれば排出総量が増える恐れが指摘される。【江口一】

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