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共済経営のKKRホテル、国が赤字補填177億
2010 / 08 / 23 ( Mon )
 財務省所管の「国家公務員共済組合連合会」(本部・東京都千代田区)が、各地で経営する「KKRホテル」の赤字補填(ほてん)のため、公費である国の拠出金を充てていることが、同省の資料で分かった。

 2000年度から09年度の10年間では毎年15億〜21億円程度を補填し、計177億円に上る。共済ホテルを巡っては、総務省所管の「地方公務員共済組合」が赤字ホテルに対し、04年度から5年間で自治体の拠出金193億円を充てていたことが明らかになっており、国家公務員の共済組合でも同じ構図が浮き彫りになった。

 財務省の資料などによると、補填は同連合会が共済年金を主な原資にホテルを建て始めた1958年度から続き、総額で442億円に上る。2009年度は赤字の24施設に15億円を補填した。同省は具体的なホテル名を明らかにしていない。

 補填は、主に人間ドック受診費など、組合員の健康増進関連の経費からの繰り入れ名目で行われてきた。この経費は国の拠出金と組合員の積立金とで折半している。

 KKRホテルは東京、京都、大阪など29都道府県に43施設を数える。1960年代には約80施設あったが、2年連続営業収支がマイナスで、3年目も改善の見通しが立たない施設は閉鎖してきた。

 ただ、営業収支が黒字でも、建設費などの減価償却で経常収支が赤字の場合は補填の対象とし、営業を続けてきた。

 補填について、財務省給与共済課は「赤字のホテルへの公費投入は当初から経営の前提条件。組合員はホテルに割引料金で宿泊できるので、公務員の福祉には必要。問題ない」と話す。

 地方公務員共済組合による赤字ホテルへの公費補填では、原口総務相が7月23日の記者会見で「独立採算による運営が原則」と述べ、見直す姿勢を示した。

 財務省の方針に、総務省の担当者は「他省のことなのでコメントできない」としているが、土居丈朗慶応大教授(財政学)は「公的組織が運営するホテルへの公費投入は、形を変えた公務員給与。国や地方からの資金提供を絶ち、独立採算に改めるべきだ」と指摘している。

 ◆国家公務員共済組合連合会=国家公務員を組合員に、年金運用や福利厚生業務を行う共済組織。警察庁所管の警察共済組合を除く1府11省や裁判所など、計20の共済組合で構成する。組合員は現在約105万人。

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