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「あたご」側、無罪主張へ イージス艦事故あす初公判
2010 / 08 / 22 ( Sun )
 千葉県房総半島沖で平成20年2月、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突し、漁船の父子2人が死亡した事故で、業務上過失致死罪などに問われた「あたご」の当時の当直士官2人の初公判が23日、横浜地裁(秋山敬裁判長)で開かれる。弁護側は無罪を主張、事故の事実関係を争うとみられる。海自艦艇の事故をめぐる刑事裁判は、30人が死亡した昭和63年の潜水艦「なだしお」事故以来、2例目。

 起訴されたのは、衝突事故発生前の当直責任者だった元航海長、後潟(うしろがた)桂太郎(38)と、発生時に当直責任者だった元水雷長、長岩友久(37)の2被告=いずれも起訴休職中。公判では、衝突に至る漁船の航跡や、2被告の過失責任の有無が争点になる。

 横浜地検は当直交代前の時間帯には、あたごと清徳丸は回避しなければ衝突事故の危険が生じる状況にあったと判断。交代前と交代後の当直責任者の双方の過失が重なる「過失の競合」により、事故が引き起こされたとして2人を起訴した。

 一方、弁護側は「清徳丸の右転、加速が事故原因」とし、清徳丸が速度と針路を維持して航行すれば、あたごの後方を通り過ぎ、衝突は起こらなかったと無罪を主張する見通しだ。

 起訴状によると、20年2月19日未明、「あたご」に乗船していた2被告は、当直士官として漁船を回避する義務があったのに、不十分な監視や引き継ぎで航行し、清徳丸と衝突。同船の船長、吉清(きちせい)治夫さん=当時(58)=と長男、哲大(てつひろ)さん=同(23)=を死亡させたとしている。

 横浜地方海難審判所は平成21年1月、「衝突の主因はあたご側にあった」と結論づけた上で、長岩被告については事故を引き起こした過失を認めたが、後潟被告については否定した。

 公判は来年1月の結審まで、計17回の期日が指定され、来春には判決が言い渡される見通し。

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