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硫黄島で遺骨収集へ 米から情報「3地点に集合埋葬地」
2010 / 08 / 08 ( Sun )
 ■政府特命チーム、来月にも試掘

 戦没者の遺骨約1万3千柱が未収集となっている硫黄島の3地点で、新たに各200〜2千柱に及ぶ集合埋葬地の情報がアメリカ側から得られたとして、国の遺骨収集特命チームが9月にも試掘を行うことが分かった。(喜多由浩)

 特命チームのリーダー、阿久津幸彦(ゆきひこ)首相補佐官(衆院議員)が産経新聞のインタビューで明らかにした。特命チームは菅直人首相の肝いりで発足。政治主導の下、内閣官房、厚生労働省、防衛省、外務省の担当者で構成される。

 当面は先の大戦の激戦地で約2万2千人の日本軍将兵が戦死した硫黄島に特化し、同島で遺骨収集を進めている米軍の担当部局とも協力しながら事業を進める方針だ。

 阿久津補佐官らは7月下旬に渡米し、米国立公文書館や国防総省の捕虜・行方不明者調査局(DPMO)を訪問。行方不明兵士の捜索や遺体回収、身元確認などを行う4軍の統合組織(JPAC)とも情報交換を行った結果、日本側が未着手の2地点(それぞれ200柱と2千柱)、さらには摺鉢(すりばち)山付近(柱数未確定)の計3地点で有力な情報が得られたという。

 これまで国の遺骨収集事業は厚労省が単独で行い、防衛省・自衛隊は国内の硫黄島などに限って側面支援を行うにとどまっていた。阿久津補佐官は「菅首相の強い意志もあり、そうした“省庁の壁”は吹き飛ばされた感じがする。国のために命をかけた方を故郷へお帰しするのは国の責務であり、今後は超党派での取り組みに広げていきたい」と語った。

 今回の動きは民間も注目している。フィリピンで遺骨収集を行い、国民一体となった“オール・ジャパン”構想を進めていたアルピニストの野口健さん(36)は「かけ声だけに終わらせないためにも今後、民間をどう巻き込んでいくかが課題だろう。また、国家の義務を明確にするために、菅首相が野党時代から呼びかけていた遺骨収集事業の法制化にぜひ、つなげてほしい」と話す。

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