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「復興の象徴」解体へ=原爆ドーム向かいの旧市民球場―広島
2010 / 08 / 06 ( Fri )
 「復興の象徴」として半世紀以上、広島市民に親しまれてきた旧広島市民球場の解体工事が、今年末にも始まる。道を挟んで原爆ドームと向かい合っていただけに、来年の「原爆の日」からは、これまでと違った光景が広がることになる。
 旧市民球場は1957年、プロ野球広島東洋カープの本拠地として完成。以来53年間、「平和の象徴」原爆ドームとともに、市民に希望を与える「復興の象徴」として、市中心部を形作ってきた。
 平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑から原爆ドームを見渡すと、球場は背景になる場所に位置しており、解体後の跡地整備について、市は同公園とのつながりを考慮した空間づくりをイメージ。慰霊碑とドームなどを結ぶ「軸線」を光を使って浮かび上がらせるほか、1万人規模のイベントが開催できる市民広場を整備する。
 さらに、緑地空間を多く取り、折り鶴をモチーフにしたホールなども建設する予定で、2013年春には一部で利用を開始したいとしている。
 一方、市民の間には球場の保存を求める声も根強い。球場前で喫茶店を経営する中川公一郎さん(50)は「(球場建設には)郷土を復興させようという思いが込められていた。古いから壊すという市の感覚が分からない」と憤る。
 09年にカープの本拠地が新球場に移ってからも高校野球の県大会や草野球で使われ、今月末まで一般開放されている内野席や折り鶴の展示スペースには、多い日で約300人が訪れている。
 修道大学2年の大林竜馬さん(21)は「広島のシンボルだけに寂しい。原爆ドームと市民球場の二つがあって広島。(旧市民球場が)ないことは考えられない」と話した。 

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