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<無料低額宿泊所>査察後も月3千万円受領 FIS脱税
2010 / 07 / 19 ( Mon )
 無料低額宿泊所を運営する任意団体「FIS」を巡る脱税事件で、所得税法違反(脱税)の罪に問われた実質運営者、藤野富美男被告(46)が、国税当局の強制調査(査察)を受けた後も、FISの関連会社からコンサルタント料名目で毎月約3000万円を受け取っていたことが分かった。税務申告はしているとされるが、入所者の生活保護費で成り立つ宿泊所の運営については、社会福祉法により「不当な営利」が禁じられている。専門家は「団体の財政面をより透明化すべきだ」と指摘している。【無料低額宿泊所取材班】

 藤野被告は05〜07年の3年間に計約2億9300万円の所得を隠し、1億円余の所得税を免れたとして、懲役2年、罰金3300万円を求刑されている。判決は20日に名古屋地裁で言い渡される。

 検察側の冒頭陳述や捜査関係者によると、FISは首都圏や愛知県に22施設を開設、入所者が毎月受給する約12万円の生活保護費から約9万円の利用料を徴収していた。藤野被告は元幹部名義の預金口座に利用料を集めて自ら管理、利益を幹部に分配する一方で、所得を一切申告せず、東京都文京区内の自宅や名古屋市内の交際相手の女性宅を購入したとされる。

 その後、07年12月に国税局の査察を受けると、FISは▽東京、埼玉▽千葉▽神奈川、愛知の宿泊所をそれぞれ管理・運営する株式会社を3社設立し、藤野被告はコンサル料として3社から合わせて毎月約3000万円を受領するようになったという。施設全体の入所者は約2000人とみられ、藤野被告には1人当たりの利用料の15%程度が流れていた計算になる。

 ◇入所者「ピンハネ変わってない」

 藤野被告はコンサル料を税務申告しているとされ、税法上の問題はないとみられる。しかしFISを巡っては、入所者が受給した生活保護費の4分の3を徴収しながら、施設の家賃や入所者の食費、職員の人件費といった経費以外に「業務委託料」名目の多額な使途不明金を計上するなど、運営の不透明さが指摘されてきた。入所者らは、査察後も宿泊所内の劣悪な待遇は改善されなかったと証言、生活保護費のピンハネ構造は変わっていないと訴えている。

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