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<不正経理>山形大工学部、余剰金をプールし転用
2013 / 11 / 05 ( Tue )

<不正経理>山形大工学部、余剰金をプールし転用

毎日新聞 11月5日(火)3時0分配信

 山形大工学部(山形県米沢市)が、国に単年度決算を義務付けられている教育研究活動費について、使い切れなかった分はプールし、施設維持・管理費などに転用していたことが大学関係者への取材で分かった。結城章夫学長は毎日新聞の取材に「不適切な状態だった」と認め、工学部に是正を指導した。

 工学部によると、教育研究活動費は文部科学省が大学運営のために渡す「運営費交付金」から支出され、工学部の教員約200人に1人あたり年平均200万円配分している。工学部の年間予算約12億円のうち約4億円を占める。同省は2010年10月、年度をまたぐ積み立てにより次年度以降の使途が不明朗になる弊害があるとして、国立大学法人に対し単年度決算を徹底するよう文書で指導していた。

 しかし、大学関係者によると、工学部は少なくとも約10年前から、余った教育研究活動費を一括して各教員から借りる形でプールし、各教員には「使い切れなかった分は、それぞれの翌年分の教育研究活動費に上乗せする」と約束し、協力を求めていた。プールした金は、新しく建設した研究施設への設備搬入費用などに転用していた。

 工学部はプール金関係の収支の帳尻を合わせるため、学部予算を投入するなどしてきたが、学部の12年度決算で2億2000万円の赤字を出して破綻。大学本部が調査してプール金の存在が発覚した。大学本部によると、プール金の運用が始まった時期や、年間の運用規模などの全体像は不明という。

 工学部は有機エレクトロニクスの国内最大級の研究拠点。国などから多額の補助金を受けて次々に研究施設を建設しているが、設備搬入費用など付随する経費がのしかかり、教育研究活動費に頼るようになった。

 結城学長は取材に「学部と教員との間で予算を貸し借りするような状態は不適切であり、今後行わないように指導した」と話した。【前田洋平】



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