＜防衛省＞硫黄島にレーダー・通信傍受施設建設へ

　防衛省は、硫黄島（東京都小笠原村）に外国軍の艦船や航空機の通信を傍受するためのレーダー施設を新設する方針を固めた。西太平洋上の活動を活発化させている中国軍への警戒監視を強めるため。小野寺五典防衛相も６、７両日、硫黄島と日本最東端の南鳥島（同）を視察して防衛体制を確認し、島を取り囲む排他的経済水域（ＥＥＺ）の権益確保をアピールする。

　硫黄島は現在、海上・航空両自衛隊の基地が置かれている。ただ、防衛省の通信傍受施設は太平洋側にはなく、外国軍の動きを把握する体制作りが課題となっている。レーダー施設の総工費は約１３０億円。２０１７年度末までの完成を目指しており、１４年度予算概算要求に設計費など４億５０００万円を計上した。

　日本周辺の太平洋では近年、中国軍の動きが活発化し、艦船・航空機が沖縄・宮古間などを通って西太平洋に進出し、演習を行う機会が増えている。中国は沖縄、台湾などを結ぶ対米防衛ラインの「第１列島線」を超えて、伊豆諸島、グアムなどを結ぶ「第２列島線」への進出を目指しているためだ。防衛省はレーダー新設によって今後の中国軍の活動拡大に備える考えだ。

　小野寺氏は４日の記者会見で「いままでは日本海や東シナ海が重要とされてきたが、これからは太平洋でもしっかりとした監視体制を取る」と述べた。【青木純】