福知山線事故、ＪＲ西の歴代３社長に無罪判決

　兵庫県尼崎市で２００５年４月、乗客１０６人が死亡したＪＲ福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で検察官役の指定弁護士に強制起訴されたＪＲ西日本の井手正敬(まさたか)（７８）、南谷(なんや)昌二郎（７２）、垣内剛(たけし)（６９）の元社長３人の判決が２７日、神戸地裁であった。

　宮崎英一裁判長は３人に無罪（求刑・いずれも禁錮３年）を言い渡した。

　重大事故で、鉄道会社の歴代トップに刑事責任を問うた異例の裁判。井手元社長は１９９２～９７年、南谷元社長は９７～２００３年、垣内元社長は０３～０６年にそれぞれ社長を務めた。

　昨年７月から１７回の審理では、元社長３人が〈１〉事故を予見できたか〈２〉現場となったカーブに自動列車停止装置（ＡＴＳ）を整備する指示を怠ったか――などが争点だった。

　指定弁護士側は、現場の半径を半減させた類例のない工事（１９９６年）や、工事の完成直前に起きたＪＲ函館線の急カーブでの脱線事故、ダイヤ改正などから事故の危険性を予見できた、と主張。一方、３人は「予見は不可能」などと無罪を主張していた。