＜スズメバチ＞巣の駆除依頼が急増　注意を

　北海道内の消毒業者に寄せられるハチの巣の駆除依頼が８月以降、急増している。春先の天候不順で初期段階の巣作りが振るわず、平均気温が上昇した８月に一気に活動が盛んになったのが要因とみられる。秋の行楽シーズンとなる９月はスズメバチの活動が最も活発化するため、専門家は注意を呼びかけている。【森健太郎】

　道内の消毒業者が加盟する北海道ペストコントロール協会によると、札幌市と近郊の駆除依頼は今年５～８月で８６５件と昨年同期に比べ２９件多い。特に８月は５２１件で、昨年同期比１２０件増となった。

　今月１０日には、札幌市南区の真駒内公園で、校外学習の児童３人がハチに刺された。公園の樹木の根元から直径約４０センチのスズメバチの巣が見つかり、児童の走る振動に刺激された可能性がある。市立真駒内公園小学校の小松靖一教頭は「地面の中にあれほど大きな巣があるのは予想外だった」と話す。

　ハチの生態に詳しい道立衛生研究所によると、スズメバチは８月から９月にかけ、女王バチが翌年用の新たな巣を作り、巣を守ろうと警戒心を強める。巣の大きさは最大で直径５０センチほどになり、その中に１０００匹以上がいるケースもある。

　道ペストコントロール協会などによると、スズメバチは住宅の軒下や換気口、庭木などに巣を作るケースが多い。刺されると、吐き気やめまい、呼吸困難などアレルギー反応を起こすこともあり、死に至る危険もある。香水、整髪料など化学物質の強いにおいがハチを興奮させやすく、黒い色への攻撃性が高いという。

　同協会の藤村忠明会長は「ハチは振動に敏感なので、むやみに刺激を与えず専門業者に駆除を依頼して」と呼びかけている。