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<原爆資料館>「被爆再現人形」撤去方針 制作者が反論
2013 / 08 / 02 ( Fri )

<原爆資料館>「被爆再現人形」撤去方針 制作者が反論

毎日新聞 8月2日(金)15時57分配信

 広島市の原爆資料館が打ち出した「被爆再現人形」の撤去方針に見直しを求める声が相次ぐ中、初代「被爆再現人形」の制作に関わったレプリカ職人の宮本※吉(しょうきち)さん(71)=京都市中京区=が毎日新聞の取材に応じた。資料館側が撤去理由として「作り物」と主張していることに対し、「等身大で立体的に示された実像は人の心や脳裏にずっしり残るはずだ」と反論している。

 資料館は展示の全面リニューアルに伴い、2016年度に人形を撤去する方針を打ち出した。「実物中心の展示へ切り替えるため」と説明している。これに対し、反対署名が提出され、被爆者からも見直しを求める声が上がっている。

 撤去されるのは1991年から展示されている2代目の人形。73年から18年間展示されていた初代は、レプリカ制作を手がける西尾製作所(京都市山科区)が作った。72年に資料館から依頼を受け、創業者の故西尾惣次郎さんを中心に宮本さんもスタッフとして取り組んだ。忠実に再現するため、被爆者への聞き取りから始めた。

 「真皮はのこる。白味を帯びた灰色」「口唇は赤黒く硬くなる」。同製作所には、被爆者からやけどや皮膚の状態を克明に聞き取ったメモと、それを基に描かれたデッサンが保管されている。聞き取りの結果、髪は縮れて逆立ち、やけどで破れた皮膚を垂らす女性2人と、大やけどを負って歩く子供のデッサンが出来上がった。

 宮本さんは子供の人形を制作する際、当時2歳だった長男の手や足から石こう型を取り、リアリティーを追求した。完成した3体の人形は、被爆画家の福井芳郎が描いた絵を拡大印刷した背景、がれきの模型とともに展示された。

 当時を振り返り、宮本さんは「人形は作り手の意志を差し挟んだものではない」と強調。撤去については「当時の写真や映像もすごいものはたくさんあるだろうが、多くはモノクロだ。人形は色があり、実物の本質を捉えてそっくりに作っている」と話した。【吉村周平】

※へんが召、つくりが卩



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