＜山口５人殺害＞放火後潜伏、２人襲撃か　帰宅の痕跡なし

　山口県周南市の５人連続殺害・放火事件で、殺人などの容疑で逮捕された保見光成（ほみ・こうせい）容疑者（６３）が事件後、自宅に戻っていない可能性が高いことが捜査関係者への取材で分かった。

　また、住民によると、河村聡子さん（７３）は出火約５時間後の２２日午前２時ごろまで近くの住民宅にいたという。こうした状況から、山口県警は保見容疑者が２軒の民家の３人を殺害して放火した後、自宅以外のどこかに潜伏して河村さんを襲撃した可能性が高いとみて調べている。

　事件は２１日午後９時ごろ２棟の民家火災で発覚。焼け跡で貞森誠さん（７１）、妻喜代子さん（７２）、山本ミヤ子さん（７９）が遺体で見つかり、更に翌日昼までに、河村さんと石村文人さん（８０）がそれぞれ自宅で遺体で見つかった。

　捜査関係者によると、保見容疑者の自宅からは襲撃時に付着するとみられる血痕や火災との関連を示すものは見つかっていないという。

　また、貞森さん、山本さん方は集落中心部にある公民館の南西側で、石村さん、河村さん方は公民館の北東側にある。

　こうした状況から、県警は保見容疑者が貞森さんら３人を殺害して放火した後、自宅以外のどこかに潜伏し、石村さん、河村さんを襲撃、集落北側の山林に逃げた可能性が高いとみている。

　また、河村さんと石村さんの自宅から、保見容疑者の指紋が検出されたことも分かった。捜査関係者によると、検出された保見容疑者の指紋は明瞭で、県警は保見容疑者の侵入経路などを調べている。

　一方、県警は２７日、保見容疑者を山本さんに対する殺人、非現住建造物等放火容疑で山口地検に送った。

　午前９時２０分に警察官に付き添われて周南署を出た保見容疑者は、紺色のシャツにベージュのズボン、スリッパをはき、下を向きながら車に乗り込んだ。右目の上には、逃走中に山中でできたとみられる傷や血の痕がついていた。【蒲原明佳、井川加菜美、杉山雄飛】