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「5月末決着」こだわる首相、真意いぶかる声も
2010 / 04 / 15 ( Thu )
 沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で鳩山首相は15日、米国と移設先自治体の合意を得た上での「5月末決着」に強いこだわりを見せた。

 米国や地元との合意形成が絶望視される中、自らハードルを上げ、実現できなかった場合の政治責任を増幅させるかのような発言に真意をいぶかる声も広がっている。ワシントンでの核安全サミットの際の日米非公式首脳会談が緊迫した雰囲気となったことが明らかになるなど、米国の視線も極めて厳しくなっている。

 平野官房長官は15日の記者会見で、「5月末までにすべて技術的な詳細も含めて全部終わっていなければ合意や理解ではない、という認識には立たない」と述べるなど、首相発言の火消しに追われた。

 平野長官だけではない。

 政府・与党内でも、沖縄県内への移設を軸とし、徳之島(鹿児島県)へのヘリ部隊移転などを組み合わせる政府案で決着できなかった場合の政権への打撃を最小限にとどめようと、「決着」の条件を緩和する方向で軌道修正を探る動きが水面下で出始めている。

 そうした中での首相の発言については、「決着期限まであと1か月半の段階で、今まで言っていたことを変えるわけにはいかない。ここでハードルを下げたら、ぶれると批判される」(首相周辺)と擁護する声もある。

 だが、「いつものことだ。せっかくセーフティーネット(安全網)を用意しても、首相がそれをびりびりに破ってしまう」などと、いらだちを募らせる政府関係者も少なくない。

 米政府は普天間飛行場の移設案に同意する条件として、〈1〉米軍の運用に支障を来さない〈2〉地元の合意を得られている――ことを絶対条件としており、この2点の見通しが立たない限り、移設案の検討を始められないとの立場だ。大統領も首相との会談でこのことを念押ししたとみられる。

 それだけに、首相と官房長官の発言がなお食い違うことに米政府関係者は15日、「いいかげんにしてほしい」と吐き捨てた。

 14日付の米ワシントン・ポスト紙が、首相が先の核安全サミットで大統領と公式会談をできなかったことに関連して「このショーの最大の敗北者は断然、哀れでますますいかれた日本の鳩山由紀夫首相だった」と酷評するなど、米世論の風当たりも強まっている。

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