＜がん診療＞新たな「地域病院」指定　来年度中に導入へ

　厚生労働省の作業部会は２日、国が指定するがん診療の拠点病院がない地域で、一定の水準の医療を提供できる病院を「地域がん診療病院（仮称）」として指定する報告書案を大筋で了承した。従来の拠点病院は指定要件をさらに厳しくし、医療の質向上を図る。来年度中の導入を目指す。

　拠点病院は、全国どこでも高い質のがん医療を受けられるようにすることを目的に、２００１年に始まった制度。国は、専門知識を持つ医療スタッフをそろえ、一定数の年間入院がん患者を受け入れてきた病院を、原則として２次医療圏に１カ所ずつ整備する方針だった。

　だが、未整備の医療圏が現在も１０７あり、拠点病院での診断、治療を希望しても、受けられない患者が少なくない。また、既に指定された拠点病院間で診療実績の格差などが指摘されていた。

　報告書案によると、新たに導入する診療病院は、近隣の拠点病院との連携を前提に拠点病院より指定のハードルを下げる。手術、抗がん剤、放射線治療や相談支援体制などに関し、現行の拠点病院並みの医療を求める。

　一方、拠点病院は、スタッフ配置要件を強化。診療実績については、入院だけではなく、通院して治療を受けている患者数も反映できる基準を設ける。【大場あい】

　◇【ことば】２次医療圏

　地域の一体性などを踏まえ、入院医療体制を整備する際の単位となる地域。４月現在で全国３４４カ所ある。医療法に基づき都道府県が設定する。複数の市町村にまたがることが多い。日常医療に関する１次医療圏は原則市区町村単位。専門性の高い医療などを整備する３次医療圏は、一般的に都道府県単位となる。