＜米軍訓練再開＞地元別海町長は撤回要求「受け入れられぬ」

　陸上自衛隊矢臼別演習場（北海道別海、厚岸、浜中の３町）で実弾射撃訓練中の在沖縄米海兵隊が、砲弾を演習場外に着弾させた問題で、北海道防衛局は１４日、米海兵隊が中止していた訓練を１５日に再開することを明らかにした。

　事故原因の説明からわずか１日での一方的な訓練再開通告に、地元自治体では驚きと怒りの声が広がった。道と周辺４町は１５日に対策を協議するが、自治体には「会議が始まる頃には、訓練が再開されているのではないか」と無力感すら漂っている。

　別海町役場には午後４時半、島川防衛局長が訪れ、訓練再開について町の理解と協力を求めた。水沼猛町長は「受け入れられない」と撤回を要求。浦山吉人・町総合政策課長は「砲弾が演習場外に着弾したのに、わずか３日で再開表明するのは住民感情を考えるとあり得ない」と怒りをあらわにした。

　訓練の監視を続ける住民団体「海兵隊移転反対別海町連絡会」の吉野宣和事務局長（８０）は「頭ごなしに訓練を再開するのは暴挙。これが海兵隊のやり方だ」と語気を強めた。

　厚岸町役場には午後４時半ごろ、防衛局の越智文隆企画部長が訪れた。若狭靖町長は「連絡会議を開こうとしている中で、頭越しに訓練を再開されるのは極めて遺憾。到底納得できない」と抗議したが、越智企画部長は「本省に伝えます」と述べるにとどめたという。同席した町幹部は「意向確認や相談ではなく、あくまで決定事項を伝えるために来たと感じた」と憤る。

　標茶（しべちゃ）町では、遺憾の意を表明した池田裕二町長に越智企画部長が「ハイレベルの段階で決まった。申し訳ないとしか言えない」と話したという。浜中町の松本博町長も島川防衛局長に抗議。箱石憲博・町総務課長は「安全対策が十分になされるのか疑問だ」と懸念した。【近藤卓資、小川祐希】