＜発砲事件＞山梨が全国ワースト　背景に暴力団抗争

　山梨県内で拳銃発砲事件が相次いでいる。甲府市を中心に昨年１１月以降に１６件発生。件数は大都市を抑えて全国ワーストとなっている。暴力団の分裂抗争が背景とみられる。発砲現場周辺の学校では授業時間を短縮して集団下校させるなど、影響が広がっている。

　県内では、指定暴力団稲川会「山梨一家」（甲斐市）と、１１年に分裂した「山梨俠友会」（甲府市）が対立。昨年１１月に甲府市内で山梨俠友会幹部が何者かに銃撃される殺人未遂事件が起きて以降、両団体の幹部宅などを狙った発砲事件が続発している。３月２７日未明には甲府市と隣の笛吹市で４件相次ぎ、今月も５件起きた。

　警察庁によると、昨年１年間の発砲事件は全国で２８件。都道府県別のワーストは山梨が５件で、東京と福岡が各４件と続く。今年も３月末までの全国の発砲事件１０件のうち６件を山梨が占める。

　現場は主に住宅街で、周辺には小学校や幼稚園も多い。今月１７日に発砲があった甲府市の現場付近では通学路を教員や警官が警戒。２５日未明に発砲があった同市住吉では、近くの小学校が授業を短縮し集団下校した。

　県内には東日本有数の石和温泉（笛吹市）などがあり、経済的影響を懸念する声もある。笛吹市の経済団体関係者は「長期化は市民生活にも、商売にも悪影響があり、一刻も早く事態収束を」と訴える。

　県警は事件発生のたびに両団体事務所などを捜索し、関係先の巡回も強化している。