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<降圧剤臨床試験>慈恵医大も調査へ 京都府医大論文問題で
2013 / 04 / 24 ( Wed )

<降圧剤臨床試験>慈恵医大も調査へ 京都府医大論文問題で

毎日新聞 4月24日(水)2時32分配信

 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験を巡る京都府立医大の論文撤回問題に関連し、東京慈恵会医大は23日、同大学でも実施されていた類似の臨床試験の経緯を調査すると明らかにした。薬を販売する製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の社員が、いずれの試験でも論文に統計解析の責任者として名前を連ねていた。バルサルタンの臨床試験を巡っては、専門家の間に試験結果を疑問視する声があり、関係者の積極的な説明が求められている。

 慈恵医大の広報担当者は「臨床試験を疑問視する週刊誌報道があったため調査する」と説明している。

 同大のチームの臨床試験は、高血圧患者約3000人を対象に2002年開始。バルサルタンを別の降圧剤と併用して服用すると、バルサルタンを併用しない場合より脳卒中が4割減少したという。この論文は07年に英医学誌「ランセット」に発表された。

 ノ社は取材に、この論文に記載された「試験の統計解析の責任者」は、ノ社の社員であることを認めた。だが論文には、この社員の所属は当時兼任していた「大阪市立大」とだけ記載されていて、ノ社の明示はされていない。この社員は、京都府立医大の試験の統計にも関係していた。

 ノ社は「当時、社員は大阪市立大の非常勤講師だった。統計手法の相談に乗っただけで、データの解析には関与していない」と説明している。

 論文には、試験費用がノ社から提供されたと明記されているが、金額は記されていない。大学側は、担当した研究者にノ社から奨学寄付金があったかについては、「開示を控える」としている。

 一連の臨床試験を巡っては、京都大病院の由井芳樹医師が昨年4月、ランセット誌で「薬を使った患者と使わなかった患者の群で、試験終了時に血圧の平均値や(データのばらつきを示す)分散値が一致しているのは奇妙だ」と、複数の大学の論文について指摘。

 その後、京都府立医大チームの6論文全てが、学術誌から撤回された。府立医大でも調査チームが検証している。【八田浩輔、河内敏康】

 【ことば】バルサルタン

 ノバルティスファーマが商品名「ディオバン」で、00年に国内販売を始めた高血圧治療薬。11年度の国内売上額は約1192億円。世界約100カ国でも承認されている。京都府立医大と東京慈恵会医大が各3000人を対象にした大規模臨床試験では、血圧を下げるだけでなく、脳卒中や狭心症のリスクも小さくする効果があり、同種の別の薬より優れているとの結論が出た。他にもバルサルタンの臨床試験をしている大学がある。



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