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【2010参院選】成長シナリオ不透明 先行する増税論議
2010 / 06 / 25 ( Fri )
 24日公示された参院選は、民主、自民の二大政党が財政再建のために消費税の増税をそろって訴えるという異例の選挙戦になった。金融市場はこうした財政再建の姿勢を好感し、国債価格が上昇して長期金利が約7年ぶりの低水準を記録した。だが、各党とも財政再建と経済成長を両立する具体的な道筋を提示できたとは言い難い。選挙結果次第では増税に“お墨付き”を与えるだけで、家計の圧迫や景気悪化につながる不安はくすぶったままだ。

 24日の国債市場は財政再建への期待から買い注文が広がり、長期金利の指標である新発10年債の終値利回りが前日より0・025%低い1・140%と、終値では平成15年8月以来、約6年10カ月ぶりの低水準となった。

 とはいえ、財政は依然危機的な局面だ。少子高齢化に伴い社会保障費が毎年1兆円以上膨らむ状況は何も変わっていない。

 政府は22日に打ち出した「財政運営戦略」に関連し、景気動向によっては32年度に21兆7千億円を上回る収支不足が発生するとの見通しを示した。これは消費税で8%分を超える増税が必要となる計算だ。ギリシャ財政危機を受けた国際世論の高まりも増税論を後押ししており、増税への地ならしだけが着々と進んでいる。

 だが、増税による財政健全化だけで、成長戦略との組み合わせがなければ、日本経済の活性化は望めない。

 菅直人首相(民主党代表)はこの日、「成長戦略に基づいて経済を立て直し、成長軌道に乗せる」と持論を展開。谷垣禎一自民党総裁も「政策を総動員し、成長できる国であることを実証しなければいけない」と訴えた。

 それでも、両党が示した経済成長への具体策は、法人税率の引き下げや規制改革など新味に乏しい。景気や雇用への波及効果がはっきりしない政策も多く「手詰まり感がにじむ」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との指摘は尽きない。

 成長への展望を欠いたまま独り歩きする増税論議。財政再建と経済成長という「クルマの両輪」を回す政策論を展開できるかどうかが、今後の選挙戦を占うカギになりそうだ。

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