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<新型出生前診断>遺伝カウンセリング義務付け 開始延期へ
2012 / 12 / 15 ( Sat )

<新型出生前診断>遺伝カウンセリング義務付け 開始延期へ

毎日新聞 12月15日(土)21時38分配信

 妊婦の血液から高精度で胎児の染色体異常が分かる新型出生前診断(しゅっせいぜんしんだん)について、日本産科婦人科学会(日産婦)は15日、実施指針の最終案を公表した。実施する施設には、産婦人科か小児科の遺伝専門医の常勤や遺伝専門外来の設置を義務づけ、施設の登録認定制度を設ける。一般から意見を募り、来年3月に指針を確定する。日産婦の小西郁生理事長は各施設に指針確定まで検査を行わないように求め、年内が予定されていた開始はずれ込む見通しとなった。

 最終案は新型出生前診断の問題点を「極めて簡便に実施可能で、妊婦が検査結果の解釈について十分な認識を持たずに検査が行われる可能性がある」と指摘。「遺伝カウンセリングを適切に行う体制が整うまでは国内で広く一般産婦人科に導入すべきではない」とした。

 実施施設については▽産婦人科と小児科の医師が常勤▽どちらかは遺伝専門医の資格がある▽専門外来の設置−−などと限定。一般の産科や不妊治療クリニックでは難しい条件となった。平原史樹出生前診断ワーキンググループ委員会委員長によると、多くの大学病院が条件を満たしており、「全国どこでもアクセスする道が断たれないよう配慮した」と話した。最終案は学会のホームページ(http://www.jsog.or.jp)で1カ月間公表して意見を募る。また、小児科学会やダウン症協会なども交えた審査組織を来月にも設置し、最終案確定後に実施施設の認定を行う。また、検査対象を35歳以上や染色体異常の胎児を妊娠したことがある妊婦などに限定した。

 新型出生前診断については、大学病院や公立病院が共同で臨床研究の枠組みを作り、年内にも開始する準備を進めていた。関係者は、指針確定前の実施見合わせを了承する意向を示しており、検査の開始は来年3月以降にずれ込む見通し。

 斎藤有紀子・北里大准教授(生命倫理学)は、学会が意見を募り議論していく姿勢を評価。その一方、検査対象を限定したことは「障害のある子どもを妊娠する可能性がある女性をリスト化し、命の選別をしてもいいと差別していることになる」と懸念を示した。【斎藤広子、五味香織】

 ◇遺伝カウンセリング

 出生前診断などの遺伝学的検査の前後に、検査で分かることや結果の理解の仕方など情報を提供し、妊婦や患者が自らの判断に基づいた選択ができるようサポートすること。主な担い手は、臨床遺伝専門医や専門学会の試験を経た認定遺伝カウンセラー。



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