＜熊本ひき逃げ＞道仁会系組幹部　佐藤さんの保険料支払う

　熊本市で約３億円の保険金が掛けられた男性が車にひかれて死亡した事件で、保険料の一部を強要未遂容疑で逮捕された指定暴力団道仁会系組幹部、斉藤健一容疑者（４３）が支払っていたことが、捜査関係者への取材で分かった。他にも保険料を支払っていた人物が数人いることから、熊本県警は逮捕した２人以外にも数人が事件に関与した疑いがあるとみて調べている。

　熊本県警によると、１０月２０日未明、熊本市内で車にはねられて死亡した同市中央区の佐藤良治（よしなお）さん（当時４５歳）には保険会社約１０社、約３億円の保険が掛けられていた。

　捜査関係者によると、佐藤さんは普段、福岡市で生活していたが、事件直前に熊本市に来たという。保険契約は今年に集中し、佐藤さんが契約していた。受取人は妻だったり、特定されていないものもあったという。この一部の保険料を斉藤容疑者が支払い、他にも数人が払っていたという。県警は佐藤さんが保険契約した経緯についても調べている。

　斉藤容疑者は同容疑で逮捕された鈴木秀男容疑者（３３）とともに、熊本市内の５０代男性に、佐藤さんをひき逃げした容疑者として身代わり出頭することなどを強要した疑いで逮捕された。容疑を否認している。

　捜査関係者によると、斉藤容疑者は過去にも交通事故の保険金詐欺事件で数人とともに逮捕されたことがあるという。

　佐藤さんは路上に横たわった状態でひかれたとみられているが、酒や薬物を飲まされたり、暴行を受けた形跡はないという。