賠償額からの再就職収入控除、東電が見直しへ

　東京電力は３１日、福島第一原発事故で失業した被災者が避難先などで再就職して得た収入を賠償額から差し引く仕組みについて、見直す方針を示した。

　次期社長に内定している広瀬直己常務が福島市で開かれた福島県原子力損害対策協議会（会長・佐藤雄平知事）で、「一定の期間、限度を設けて控除をやめる方向で検討している。もう少々お待ちいただき、しっかりしたもの（基準）を発表したい」と述べた。

　国の原子力損害賠償紛争審査会は中間指針の「第２次追補」で、営業損害や就労ができなくなったことへの損害について、「特別の努力で得られた収入は、損害額から控除しないなど合理的・柔軟な対応が必要」と指摘。避難者や福島県などからは「賠償から控除すれば、勤労意欲の減退につながる」との声があがっていた。