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<大阪市改革案>補助金半減に児童施設困惑 存続施設は安堵
2012 / 05 / 11 ( Fri )
 「存続を求める声が届いた」「それでも……」−−。大阪市が11日公表した市政改革プランの素案では、1カ月前の「試案」で廃止や削減対象とされた福祉・地域施設の一部が、一転して存続することになった。安堵(あんど)の声も上がったが、橋下徹市長の急進的な改革と短期間での方針転換への困惑が広がっている。

 「続けてもらえるんや。ありがたいね」。同市東住吉区の市長居障害者スポーツセンター体育室で、車椅子の宮崎富美子さん(85)=同市住吉区=は笑みを浮かべた。74年開館の同センターはプールやトレーニング室などを備え、障害者は無料だ。廃止が検討されたが、今回の素案で存続が決まった。

 宮崎さんは24年前にくも膜下出血で右半身が不自由になり、週4日通う。リハビリで右足が10センチ以上動くようになった。夫諒さん(86)は「財政赤字を減らすのはいいが、もう少し考えて」と注文する。脳梗塞(こうそく)のリハビリをしている金井保昌さん(41)=同市平野区=は施設存続を求めて複数の市議に直談判した。署名活動をする利用者もおり「みんなの声が市長に伝わった」と感じる。利用者には橋下市長に批判的な声も多いというが、「あれだけ人を動かせるのは橋下さんしかいない。踏ん張ってほしい」とエールを送る。

 区民センターは統廃合の危機を免れた。西成区民センターで活動するフラワーアレンジメントサークル代表の女性(50)は「ここで10年以上続けてきたので残してほしい。市の方針はどうしてころころ変わるのか」と首をかしげた。

 一方、放課後対策事業の一つ「子どもの家」は補助打ち切りこそ免れたが、1施設あたりの平均補助額がほぼ半額になる学童保育事業への移行が示された。原則無料で地域の子どもを受け入れてきた各施設からは、懸念の声が上がる。「山王こどもセンター」(同市西成区)の前島麻美施設長(57)は「打ち切りよりましだが、今もバザーなどの収益で職員の人件費を賄っている。保護者に寄付を求めるしかないが、貧困家庭も多く難しい」と悩む。障害児も多く受け入れている「じゃがいも子どもの家」(同市生野区)の職員、新家茜さん(32)は「健常児と障害児が自然に遊べる貴重な場だと思う。補助が半減すれば、保護者に月に3、4万円を負担してもらわないと立ちゆかない」と嘆く。【原田啓之、反橋希美】

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