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「母」は北関東のエドヒガンか=ソメイヨシノと葉緑体DNA一致―千葉大
2012 / 05 / 05 ( Sat )
 桜の代表的な品種ソメイヨシノは、江戸時代後期に植木屋が多かった染井村(現東京・駒込)で伊豆諸島などに自生する野生種オオシマザクラを父親、エドヒガン系統の品種コマツオトメを母親として誕生したとの説が有力だったが、コマツオトメは母親ではなく近縁にとどまることが分かった。千葉大園芸学部の国分尚准教授や安藤敏夫元教授らが5日までに葉緑体のDNAを解析して判明した。
 植物で光合成を行う葉緑体には、細胞核のDNAとは別のDNAがあり、母親から子に受け継がれるため、塩基配列の特定領域が個体間の関係を解明する手掛かりになる。
 研究チームが江戸時代から生えているエドヒガン系統の天然記念物級の古木を青森から鹿児島まで計523本探して葉緑体DNAを採取・解析したところ、ソメイヨシノと一致する木が群馬県で4本、栃木、山梨、長野、兵庫、徳島の各県で1本ずつ見つかった。
 研究チームは細胞核DNAで個体間の関係解明に役立つ「PolA1」遺伝子や「S」遺伝子の解析も進めており、これらの結果を総合するとソメイヨシノの母親の起源地を特定できる可能性がある。研究成果は園芸学会で発表された。
 国分准教授は「鳥が実を食べて種を運んだり、人が苗を移植したりすることがあるので、起源地の特定は容易ではない。染井村の植木屋には各地から桜の苗が集まり、ソメイヨシノができたのではないか」と話している。
 コマツオトメがソメイヨシノの母親の有力候補とされたのは「PolA1」遺伝子の解析結果が根拠で、千葉大や静岡大の研究チームが2007年に育種学会で発表した。父親のオオシマザクラは伊豆諸島や伊豆半島、房総半島に自生している。 

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