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関電社長、安全対策の工程表を提出 大飯再稼動問題で経産相と会談
2012 / 04 / 09 ( Mon )
 関西電力の八木誠社長が9日午前、経済産業省を訪れ、枝野幸男経産相に再稼働を目指す大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の安全性向上の対策をまとめた工程表を手渡した。放射性物質を除去するフィルター付きベント(排気)装置を平成27年度に設置する計画を初めて示した。政府は工程表の提出を受け、大飯原発の再稼働の妥当性を週内にも判断する方針だ。

 工程表では、フィルター付きベント装置のほか、災害発生時に現場の対策拠点となる免震事務棟の建設完了時期を、従来計画の28年度から27年度に1年前倒しすることなどを盛り込んだ。現在、非常時には3、4号機の原子炉建屋とタービン建屋の間にある中央制御室の会議室を使うとしているが、関電は3、4号機の再稼働には前倒しが不可欠と判断した。

 また、経産省原子力安全・保安院が福島第1原発事故を受けてまとめた30項目の安全対策の達成時期を明示。八木社長は工程表の提出後、報道陣に対し「一連の安全対策で2千億円強の費用がかかる」と明らかにした。

 枝野経産相は、八木社長に対し「事業者自らが信頼性を高め、安全神話から脱却することが求められる」と述べたうえで、工程表の進捗(しんちょく)状況を四半期に一度は報告するよう求めた。

 政府は関電の工程表を点検するとともに、原子力安全・保安院による大飯原発の安全対策の検証結果なども踏まえ、週内に再稼働の妥当性を判断する方針。

 一方、再稼働の判断では、関電管内の電力需給状況も考慮する。政府は再稼働方針を固めた場合、枝野経産相を地元の福井県に派遣し、西川一誠知事らに直接理解を求める。ただ、西川知事ら地元自治体がどう判断するのか見通しは不透明だ。

 野田佳彦首相と枝野経産相ら3閣僚は、6日に開催した原発再稼働を協議する3回目の関係閣僚会合で、運転再開に向けた新たな安全基準を決定。再稼働の必要条件の一つとして、電力会社に安全性を高める施策の工程表の提出を求めていた。

■大飯原発3、4号機の安全性向上のための工程表の概要

【外部電源対策】

 ・3、4号機への送電線の増強(平成25年12月)/・鉄塔基礎の安定性向上のための対策(24年度)

【所内電気設備対策】

 ・恒設非常用発電機の設置(27年度)/・防波堤のかさ上げ(25年度)/・建屋の扉を水密扉に取り替え(24年6月)

【冷却・注水設備対策】

 ・中圧ポンプの配備(24年5月)

【格納容器破損・水素爆発対策】

 ・フィルター付きベント設備の設置(27年度)

【管理・計装設備対策】

 ・免震事務棟の設置(27年度)/・政府系関係機関とのテレビ会議システムの導入(25年度)

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