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沖縄県民「翻弄された、辞任は職務放棄で卑劣」
2010 / 06 / 03 ( Thu )
 鳩山由紀夫首相(63)と小沢一郎・民主党幹事長(68)。

 民主党の2人のトップが2日、ともに辞任することになった。それぞれの秘書や元秘書が逮捕・起訴された「政治とカネ」の問題と、米軍普天間飛行場の移設問題……。首相は辞任の理由として、この二つを挙げ、特に沖縄県民には「ご迷惑をおかけしている」と謝罪した。これを地元・沖縄の人々は、どう受け止めたのか。そもそも首相は、どんな経緯で普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」と発言したのか。

 鳩山政権が、米国との共同声明で、普天間飛行場の移設先として挙げた沖縄県名護市「辺野古」地区。

 2日、10キロほど離れた市街地に住む保育士の宮城泉さん(37)は車で職場に向かう途中、ラジオで首相の辞任表明を知った。

 自公政権が移設先を「辺野古」と決めた経緯を見て覆すのは困難だと思っていた宮城さんも、「最低でも県外」という首相の言葉には期待をかけていた。その分、再び「辺野古」となったことへの落胆は大きく、辞任表明には、怒りがさらに増すのを感じた。

 「市民を翻弄(ほんろう)した責任を果たすことなく辞任するのは職務放棄で、卑劣な行為ではないのか」。宮城さんの言葉は厳しかった。

 「最低でも、県外移設に皆さんが気持ちを一つにされているなら、我々としても積極的に行動しないといけない」。首相が沖縄でそう発言したのは、衆院選まで1か月余に迫った昨年7月19日。新人として沖縄3区に名乗りを上げていた玉城デニー衆院議員(50)の応援演説の場だった。

 この会場に向かうワンボックスカーの車中で、首相は、隣に座る党県連の幹部から話しかけられていた。

 「基地問題のことを話してもらえないでしょうか」

 玉城議員の地元には名護市も含まれている。「民主党が政権に就いても辺野古移設を容認するのではないか」。当時、地元にはそんな疑念が広がり、この県連幹部は、首相に疑念を払拭(ふっしょく)してもらいたいと思っていた。

 「そうだなぁー」。首相は、拍子抜けするほどあっさり携帯電話を取り出し、「どこまでなら話してもいい?」と党の政策担当者と相談を始めたという。

 「最低でも県外」と発言したのは、それからわずか約1時間後のことだった。

 「あの時の言葉があまりに明確だっただけに、沖縄に不満や落胆が一層、広がってしまった」。迷走する普天間問題に、そう話していた玉城議員は、この日の首相の辞任表明を受けて嘆いた。「首相が退陣しても県外移設を求める民意は何も変わっていない。この問題の根本的な解決なしに、安定した政権運営は不可能だろう」

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