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<広島から>原爆耐えた樹木の種子を世界へ
2011 / 12 / 30 ( Fri )
 広島の原爆に耐えた被爆樹木の種子や苗を海外に送る取り組みを、広島市に事務所を置く「国連訓練調査研究所」(ユニタール、本部・スイス)と同市のNPO法人などが始める。平和記念公園(広島市中区)のアオギリのほか、クスノキや柿などの種を来年1月からオランダやロシアなどに試験的に送り、来夏以降、ユニタールのネットワークを生かして本格的に展開する予定。命の大切さや廃虚から立ち上がった広島の歩みに思いを寄せてもらうのが狙いだ。

 ユニタールと国際平和活動を続けるNPO法人「ANT−Hiroshima」が中心の「Green Legacy Hiroshima(緑の遺産ヒロシマ)」という活動で、ユニタール特別上級顧問のナスリーン・アジミ広島事務所前所長が発案した。被爆樹木の世話をする樹木医や、海外との種子交換などで実績がある広島市植物公園、国内外5000超の都市が加盟する「平和市長会議」の事務局(財団法人広島平和文化センター)、広島大などが協力する。

 同市によると、爆心から約2キロ以内の55カ所に約170本の被爆樹木が現存する。メンバーらは11月以降、クスノキや柿、イチョウなどの実を採取し、種を取り出して保管してきた。市提供のアオギリの種と合わせてパック詰めし、検疫手続きを経て海外に送る。イラクやアフガニスタンは、在東京大使館に苗を届けて庭に植えてもらう予定。受け取った側からは生育状況の報告などをしてもらう。

 「ANT−Hiroshima」の渡部朋子代表は「命の尊厳を意識しながら生きていくと、人間は暴発しないと思う。種や苗木を送ることは広島からの平和のメッセージだ」と話している。【加藤小夜】

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