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地デジ難視聴地域解消へ「切り札」実験 近畿総合通信局など
2011 / 10 / 29 ( Sat )
 近畿総合通信局が、テレビの地上デジタル放送移行に伴う難視聴地域の解消に向けた実証実験を年明けにも行うことが29日、わかった。センチメートル波(SHF)という、従来のテレビ用電波より波長の短い周波数帯を使い、ビル陰や山間部へ番組を再送信する仕組みで、全国の通信局でも初の試み。近畿2府4県では、現在も約3600世帯が難視聴のままとなっており、来年度にも実用化を目指す方針だ。

 実証実験は来年1月から3月にかけて実施。近畿総合通信局と在阪テレビ局や電機メーカーなどが協力し、大阪府の山間部や神戸のビル陰などの難視聴地域を対象に、地デジ放送を19ギガヘルツ帯域のSHFで再送信する。50~300メートル離れた複数の地点で、受信状態の確認や、必要な出力レベルを検証する。

 近畿総合通信局によると、地デジ移行に伴い、近畿2府4県では約2万5千世帯が難視聴になった。うち大半は、電波を中継して再送信する「ギャップフィラー」という設備や、共同アンテナの設置、ケーブルテレビへの加入などで解決した。

 だが、一部のビル陰や山間部では、電波の混信や費用負担などの事情から、約3600世帯が難視聴のまま置き去りとなっている。平成27年までの期間限定で、衛星放送による地デジの放送も行われているが、抜本的な難視聴対策が求められていた。

 SHFは、地デジに使われるUHF波より波長が短く、都市部などでも混信が起きにくい利点がある。アナログ放送当時も兵庫県の明石海峡大橋や淡路島などで難視聴対策に使われていた。ただ、SHFは雨や雪などの影響を受けやすいため、さまざまな天候条件の下で送受信の状態を確認し、実用化を急ぐ方針だ。

【用語解説】センチメートル波(SHF)

 波長が1~10センチ、周波数が3~30ギガヘルツの電波で、衛星放送などに用いられる。近接するUHFの周波数は300メガ~3ギガヘルツでテレビや携帯電話などに使われる。現在の地上デジタル放送で使用するUHFは500メガヘルツ前後だが、ビルなどの建造物や山などの地形による影響で、難視聴地域が発生する。

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