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<裁判員裁判>起訴1年公判日決まらず 鑑定医の事故で延期
2010 / 05 / 21 ( Fri )
 09年5月21日の裁判員制度開始初日に殺人未遂罪で起訴された被告の公判期日が1年を過ぎても決められない事態になっていることが分かった。千葉地裁の法廷で証言予定だった精神鑑定医が交通事故に遭い、別の医師による再鑑定を行っているためだが、公判延期後に被告の母親が被害者に脅迫文を送ったとして逮捕される事件が発生。被告の弁護人は「延期の影響は無視できない」と指摘している。【伊藤一郎】

 事件は09年2月、千葉県市川市の無職女性(30)が別れ話のもつれから交際相手だった30代の男性を自宅で包丁で刺してけがをさせたとされる。

 逮捕後の調べで「事件を起こしたのは別の人格」と多重人格を主張したため、千葉地検は精神鑑定を行い、完全責任能力があるとの結果を得て起訴した。

 公判前整理手続きで争点を「殺意の有無」と「責任能力の程度」に絞り、地裁は公判期日を10年1月25~29日(判決期日)と指定。捜査段階で鑑定した男性医師の証人尋問も決めた。

 しかし、医師は1月2日に交通事故で大けがをし、地裁は公判期日を取り消して呼び出し状を送っていた裁判員候補者にも通知。医師の回復のめどが立たないため3月、別の医師による再鑑定を決めた。5月末ごろ終わる予定で、6月にも改めて公判期日が決まる見通しだが、初公判は秋以降になる見込み。

 ところが公判延期後の2月に被告の母親が被害者の男性に脅迫文を送ったとして、3月に逮捕、起訴され、有罪となった。

 被告の弁護人は「予定通り1月に公判があり、判決が言い渡されていれば、母親による予想外の事件はなかったかもしれない。裁判官だけの裁判なら責任能力以外の争点を先に審理できた。被告の身柄拘束が長引くうえ、証人となる被害者の記憶も薄れる。被告にとって酷な状態が続いている」と指摘する。

 裁判員制度の施行日には全国で4人が対象事件で起訴されたが、他の3人には既に1審判決が言い渡されている。

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