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<名古屋市バス>乗客の保険で治療 人身3件「事故」にせず
2011 / 09 / 17 ( Sat )
 名古屋市営バス鳴尾営業所(南区)が、10年度に起きた乗客の車内転倒などの人身事故3件について、市バス側の自賠責や任意保険で治療費を支出せず、負傷した乗客が自分の医療保険で治療していたことが分かった。警察には届けたが、乗客の保険を使ったため営業所は「事故」として扱わなかった。市交通局が経緯を調べている。【稲垣衆史】

 毎日新聞の情報公開請求で開示された10年度の事故報告書によると、名古屋市南区で今年2月、鳴尾営業所の市バスがブレーキをかけた際、乗客2人が転倒し打撲。報告書には「当方過失」と市バス側の過失と明記し、警察署にも届けた。

 市バス側が加入する保険で対応するケースだが、報告書には「(乗客の)けがの程度が軽微であったため、ご自分の健康保険や老人医療で受診される事を約束され、お許しをいただいた」と手書きで追記されていた。他の2件も同様の処理がされていた。

 しかし、交通局のある関係者は「市の保険を使うと事故としてカウントされるので、運転手がポケットマネーで治療費を立て替えるケースはよくある」と証言する。

 鳴尾営業所の天野隆功所長は「交通事故の被害は加害者側が負担するもので、社会常識からして(3件の処理は)おかしい。(内規違反の)ポケットマネーで立て替えたかどうかも含めて調べている」。交通局自動車運転課の赤石哲治課長は「どう処理したかを把握しておらず、適切かどうかもわからない」と話した。

 名古屋市営バスの処理について、東京都交通局の担当者は「治療が長引いたり、後で症状が出たりすることもある。軽微だからといって相手に負担させず、バスの加入保険で対応した方が良い」と指摘。大阪市交通局の担当者は「乗客が治療費を負担してくれることは考えにくい」としている。

 名古屋市営バスでは、物損事故を警察や相手方に届けなかったことが判明し、愛知県警が各営業所を道交法違反容疑で家宅捜索している。

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